◎先月末行われたベネズエラ大統領選とその後の混乱が収束する見通しは立っていない。
米国のバイデン(Joe Biden)大統領は15日、ベネズエラの大統領選をやり直すというブラジル大統領の提案を支持すると表明した。
バイデン氏はホワイトハウスで記者団の取材に応じた際、「ブラジル大統領の提案を支持するか?」と問われ、「支持する」と答えた。
バイデン氏はそれ以上答えず、ホワイトハウス報道官も詳細には触れなかった。
ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は15日、先月末行われたベネズエラ大統領選とその後の混乱に改めて懸念を示し、現職のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に対し、「良識があるのであれば、再投票すべき」と促した。
またルラ氏は「マドゥロ氏はベネズエラの国民だけでなく、世界に説明する必要がある」と強調した。
マドゥロ氏はこの発言に即座に反応。提案を拒否し、「私が勝利したことは明らかである」と主張した。
マドゥロ氏の支配下に置かれる選挙管理委員会は7月28日に行われた大統領選の集計結果を公表せず、現職のマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保したと報告。それによると、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけているという。
米国を含む数カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけている。
15日未明、全野党の指導者であるマチャド(María Corina Machado)元議員もルラ氏の提案を拒否した。
マチャド氏はオンライン記者会見で、「やり直しは国民を侮辱するものであり、再投票してもマドゥロが負けを認めなかったら3回目に行くのか?」と怒りをあらわにした。
またマチャド氏はブラジル政府に対し、ゴンザレス氏を勝者と認めるよう要請した。
ベネズエラの司法当局は今月初め、全野党が軍に対し、マドゥロ氏への忠誠を再考するよう促したことを受け、ゴンザレス氏とマチャド氏に対する犯罪捜査を開始すると発表した。
捜査がどの程度進んでいるかは不明。ゴンザレス氏とマチャド氏は国家反逆罪を含む複数の罪に問われる可能性がある。
2人の所在は明らかになっておらず、当局の捜査に協力しているかどうかも不明だ。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、推定770万人が国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。