◎米空軍を含む関係機関は「粉ミルク空輸作戦」に従事している。
粉ミルクを飲む乳児(Getty Images)

米ホワイトハウスは22日、バイデン大統領の「粉ミルク空輸作戦(Operation Fly Formula)」の一環として、ドイツから35トンもの粉ミルクを軍用貨物機で米国に空輸したと発表した。

声明によると、米空軍と民間航空会社はドイツから複数の便で粉ミルクを空輸する予定だという。

この粉ミルク35トンはインディアナ州インディアナポリスの軍事基地から地域の薬局などに展開される。

全米の粉ミルク供給量はサプライチェーンの混乱、リコール、粉ミルク大手アボット・ニュートリションの施設閉鎖などの影響で激減した。

小売業者はひとりあたりの販売量を制限しており、医師や医療従事者は粉ミルクを水で薄めたり、SNSで拡散しているDIYレシピを真似ないよう警告している。

バイデン氏は先週、国防生産法を発動し、国内メーカーに粉ミルクの増産を命じた。食品医薬品局(FDA)は海外の乳児用粉ミルクの輸入規制を緩和している。

インディアナポリスで初荷の到着を確認した農務省のビルサック(Tom Vilsack)長官はアルジャジーラのインタビューの中で、「これは乳児約2万7000人の1週間分のミルクである」と語った。

またビルサック氏は、「この35トンは欧州から米国に届けられる全供給量の3分の1程度に過ぎず、さらに多くの粉ミルクが届くだろう」と説明した。「バイデン大統領は危機に対処するため、軍を含むあらゆる戦力を投入し、できる限りのことをするよう命じています..」

ホワイトハウスによると、ドイツから米国に追加空輸される粉ミルクは

▽ネスレとアルファミノの粉ミルク:132パレット
▽ガーバーの粉ミルク:114パレット
▽牛乳蛋白アレルギーの子供のための低アレルギー粉ミルク3種

などで、今週中に150万缶が到着する予定。

インディアナポリスにはネスレ社の物流センターがあり、当局によると、到着したミルクはフェデックスのセミトレーラーで同社の配送センターに運ばれ、そこで品質チェックを受けたのち、医療機関や薬局などに届けられるという。

またホワイトハウスによると、この週末は民間の貨物機が使えなかったため、米空軍の貨物機で初荷を輸送した。

国家経済会議のディーズ(Brian Deese)氏は22日に放送されたCNNニュースのインタビューの中で、「22日の便は米国が必要としている医療用特殊粉ミルクの15%を空輸した」と語った。またディーズ氏は、今週中には多くの粉ミルクが店頭に届くという見通しを示した。

農務省と保健社会福祉省は声明で、「粉ミルク空輸作戦の管理下に置かれた省は健康・安全基準を満たす海外の乳児用粉ミルクを輸入し、国防総省に支援を要請する権限を与えられており、これにより、多くの粉ミルクをより早く店頭に並べることができる」と述べている。

アルファミノの粉ミルクは主に病院や在宅患者を対象とした在宅医療会社を通じて販売される。

FDAとアボット・ニュートリション社は来週にも同社のミシガン工場を再開させたいと考えているが、製品の出荷が可能になるまでには2カ月ほどかかる見込みだという。

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