◎米国はすでに30億ドル以上をウクライナに支援しており、今回の提案はそれを大幅に上回る。
米国のジョー・バイデン大統領は28日、ウクライナの軍事、経済、人道面を支援する330億ドル(約4兆3100億円)の追加予算を議会に要請した。
バイデン大統領は、「この支援はウクライナの自衛に役立つ」とし、議会に速やかな対応を求めた。
この予算は200億ドル以上の軍事援助、85億ドルの経済援助、30億ドルの人道援助で構成されている。
バイデン大統領は予算を「安くない」としつつ、「侵略に屈すれば、より大きな代償を支払うことになる」と指摘した。
米国はすでに30億ドル以上をウクライナに支援しており、今回の提案はそれを大幅に上回る。
バイデン大統領はウクライナへの軍事支援について、「ロシアがウクライナに配備した戦車1台に10台の対戦車兵器で立ち向かうことができる」と説明した。
またバイデン大統領は軍事支援を必要不可欠としたうえで、「ロシアを攻撃しているのは米国ではない」と強調した。「我々はロシアの侵略から身を守ろうとするウクライナを助けています」
ロシア外務省は28日、欧米のウクライナに対する軍事支援は「大陸の安全保障」を脅かすと警告した。
バイデン大統領はロシアが核兵器の使用を示唆していることにも言及した。
ロシアのラブロフ外相は先日、米国を念頭に置き、「ウクライナをめぐる核戦争のリスクを過小評価すべきではない」と警告した。
バイデン大統領はこの警告について、「核兵器に関するくだらない発言をしてはならない」と一蹴した。
またバイデン大統領は欧州のエネルギー安全保障を脅かすロシアの「天然ガス脅迫」を厳しく非難した。「我々はロシアが欧州の制裁から逃れるために脅迫したり、恐喝したりすることを許しません...」
ロシア国営ガスプロムは27日、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止した。
バイデン大統領は米国経済が困難に直面していることが明らかになった日に追加予算を要求した。
経済分析局が28日に公表したデータによると、米国の2022年第1四半期における実質国内総生産(GDP 季節調整済み)は7四半期ぶりのマイナス成長に転じた。
しかし、共和党はバイデン政権の政策に反対しつつも、ウクライナへの支援についてはかなりの意欲を見せている。
アナリストも、民主党が330億ドルに余計な支出項目を包含しない限り、速やかに承認されると予想している。
先月議会で可決されたバイデン大統領の最初のウクライナ支援予算は約140億ドルであった。
バイデン大統領は先週、140億ドルの一部である8億ドル相当の軍事支援(2回目)と、5億ドルの直接経済支援を承認した。
一方、ホワイトハウスは28日、米国内で差し押さえたオリガルヒの資産を売却し、その収益でウクライナを支援すると提案した。カナダはこの措置を実現させる法案を審議している。
西側諸国は開戦以来、オリガルヒのスーパーヨット、美術品、不動産、ヘリコプターなど、数百億ドルの資産を追跡し、差し押さえてきた。
ホワイトハウスによると、米国はこれまでに10億ドル以上のヨットなどを差し押さえ、EUのそれは300億ドル以上にのぼるという。
ホワイトハウスが28日に提案した新たな制裁により、米国は没収した資産の売却益をウクライナ支援に使用できるようになる。
同様の措置を準備しているカナダ政府は金銭、デジタル資産、仮想通貨を含むあらゆる種類の資産を差し押さえの対象にすることを目指している。