◎米国とEUはこれまで、プーチン大統領の「核恫喝」を真剣に受け止めるべきと警告してきた。
米国のバイデン(Joe Biden)大統領は6日、ハルマゲドンが起こるリスクは1962年のキューバ危機以来最も高いレベルにあると警告した。
ハルマゲドンは世界の終末的な善と悪の戦争や世界の破滅を指す。戦争を終結させる「最後の戦争」や大艱難(人類が経験しうる最大の苦難)の頂点がハルマゲドンとみなされている。
バイデン氏は先月、ウクライナ侵攻で苦戦を強いられているロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領が戦術核兵器を使用する可能性に言及した時、「それは冗談ではない」と述べていた。
バイデン氏はニューヨークで行われた民主党の資金調達イベントで講演し、「米国はプーチン氏が戦争から抜け出す方法を見極めようとしている」と述べた。
米国とEUはこれまで、プーチン氏の核恫喝を真剣に受け止めるべきと警告してきた。
しかし、ホワイトハウスのサリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官は先週、「現時点でロシアが核兵器を準備している兆候はみられない」と報告していた。
バイデン氏は「キューバ危機以来、世界は初めて核兵器を使用するという脅威に直面した」と語った。「キューバ危機以来、世界はハルマゲドンが現実になる、という脅威に直面したことは一度もありませんでした...」
ケネディ政権は1962年、ソ連がキューバに核兵器を配備したことを受け、核戦争の一歩手前まで追い詰められた。
この緊張は世界が最も核戦争に近づいた瞬間とみなされている。
バイデン氏は講演の中で、「戦術核、生物・化学兵器が使用されれば、戦争は制御不能に陥る可能性がある」と警告した。
またバイデン氏はプーチン氏の次の一手を慎重に見極める必要があるとした。「私たちはロシアがどのように戦争から撤退するか見極めようとしています...」
米当局は数カ月前から、ロシアがウクライナ侵攻で挫折した場合、大量破壊兵器の使用に踏み切る可能性があると警告してきた。
プーチン氏も強制併合したウクライナ東部と南部4州を含むロシア領を守るためにあらゆる手段を講じると警告している。ロシアはウクライナ4州を「新領土」と呼び、ここに対する攻撃はロシア領への攻撃とみなすとしている。
プーチン氏は9月30日の演説で、「米国は第二次世界大戦末期に核兵器を使用し、前例を作った」と述べ、ロシアも同じことをする権利があると示唆した。
ロシア軍は厳しい戦いを強いられているように見える。ウクライナ東部ルハンシク州とドネツク州、南部ヘルソン州とザポリージャ州が強制併合された日でさえ、ウクライナ軍は東部と南部で構成を強め、占領地に深く切り込み、ロシア軍を押し返したのである。
ロシア国防省は先月の予備役部分動員令発表以来、20万人以上を徴兵したと報告しているが、それ以上の市民がロシアから隣国に逃亡し、その多くが戦争に不満を表明している。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は先月、「プーチンの核恫喝はロシアと宣伝屋の常套句だ」と一蹴した。
カーネギー国際平和基金は公式ウェブサイトに、「ロシアのレトリック(核恫喝)は西側の抑止が目的であり、西側はそれに立ち向かうと決意したように見える」と投稿している。
ロシア国内でもプーチン氏が核のボタンを押すのではないかという懸念と反発が高まっている。独立系紙ノーバヤ・ガゼータ欧州は社説の中で、「核のボタンを議論すること自体間違っている」と政府高官を糾弾している。