◎米国は債務に上限を設定しており、上限に達するとそれ以上国債を発行できなくなる。
バイデン(Joe Biden)米大統領と共和党のマッカーシー(Kevin McCarthy)下院議長は債務上限の引き上げについて、22日に協議を再開する予定だ。
マッカーシー氏は21日、連邦議会で記者団の取材に応じ、バイデン氏とG7広島サミットの合間に電話会談したと明らかにした。
マッカーシー氏はバイデン氏に対し、「共和党が見ている問題を理解できれば、合意に達することができる」とする一方、「現時点で問題を解決できる可能性は低い」」という見方を示した。
米国は債務に上限を設定しており、上限に達するとそれ以上国債を発行できなくなる。
上限を引き上げる法案が成立しなければ、米国は6月1日までに債務不履行に陥る可能性がある。
マッカーシー氏は「民主党と交渉を続けている」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
米国が債務不履行に陥れば建国史上初。ほぼ間違いなく国際市場を動揺させ、世界規模の金融危機に発展する可能性がある。
下院共和党はバイデン政権に対し、上限の引き上げと引き換えに予算削減や政策変更、特に低所得者層や学生などを対象とする支援プログラムの変更を求めている。
一方、バイデン氏は共和党に対し、富裕層への増税に理解を求める一方、人口の大多数を占める低中所得者層への支援プログラムの見直しには応じないとしている。
AP通信によると、財務省の関係者は21日遅くに連邦議会を訪れ、共和党の首席交渉官を務めるグレイブス(Garret Graves)下院議員らと会談する予定。
バイデン氏は広島の会見で「この取引は超党派の合意によってのみ成立する」とし、共和党に方針を見直すよう迫った。
またバイデン氏は共和党政権が過去に何度も上限を引き上げたことに触れ、「政治的理由で極端な立場を取るべきではない」と批判した。「率直に言って、共和党が提案した内容の多くは受け入れがたいものでした。共和党は極端な立場を見直すべきです。自分の主張を貫き通すのではなく、超党派として協議し、合意を目指す必要があります...」
マッカーシー氏は今年、下院議長選出投票で世界に醜態をさらし、共和党保守勢力の支持を失った。
多くのアナリストがマッカーシー氏のリーダーシップに疑問を呈している。
あるアナリストはマッカーシー氏の立場について、「今、バイデン大統領との交渉で妥協すれば、トランプ派閥の支持を失い、自分だけでなく共和党全体の立場を危うくする可能性がある」と指摘している。