◎ジョー・バイデン大統領はテレビ演説の中で、5月1日までに国内の全ての成人にコロナワクチンの接種資格を与えるよう州政府と地方自治体に指示した。
2021年3月11日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領(AP通信/アンドリュー・ハーニック)

3月11日、ジョー・バイデン大統領はテレビ演説の中で、5月1日までに国内の全ての成人にコロナワクチンの接種資格を与えるよう州政府と地方自治体に指示した

ABCニュースによると、年齢、職業、健康状態などの条件を考慮した「優先接種の順位付けに関する連邦政府の措置」は間もなく廃止される予定だという。また、ワクチン接種会場の数を増やすために、獣医師や歯科医師などにも接種許可が与えられた。

この日、バイデン大統領は約1.9兆ドル(200兆円)のアメリカンレスキュープランに署名し、ゴールデンタイムにテレビ演説を行った。

バイデン大統領は演説の中で、誰もが積極的にワクチンを接種すれば、独立記念日(7月4日)までに家族、友人、隣人の小グループで集まれるようになる可能性があると述べた。

「私たちは今年の独立記念日を特別なものにしたいと考えています。アメリカが独立を達成した日はコロナウイルスから独立を達成した日になるでしょう」

「私たちは皆、何かを失いました。苦しみ、犠牲、多くの命を失いました。しかし、喪失の中にあっても、感謝と尊敬の気持ちはたくさん得られることを知りました」

ホワイトハウスは声明で、「バイデン大統領は各州のワクチン接種の優先順位を5月1日までに廃止し、全ての成人が接種対象になることを望んでいます。5月1日までに全ての成人にワクチンを提供するという意味ではありません」と述べた。また、利用可能なワクチンの情報(保管場所、在庫、配送にかかる時間など)をまとめた連邦政府のウェブサイトの運用を開始する予定だという。

バイデン大統領はワクチン接種の取り組みを支援するために、4,000人以上の現役兵士を各地に配備すると発表した。また、歯科医師、救急救命士、医師助手、獣医、医療およびメンタルヘルス業に従事する学生などにワクチン接種許可を与えると述べ、「アメリカの屋台骨を再構築する」と宣言した。

ABCニュースによると、全国の約950の地域保健センターと最大20,000の薬局にコロナワクチンを大量納入する手続きが進められているという。

2021年3月11日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領(ゲッティイメージズ/マンデ・ルンガン/AFP通信)

バイデン大統領は7月4日までに事態を大きく好転させると主張する一方で、ワクチン接種後もマスクを着用し、社会的距離を確保し、コロナウイルスの拡散を防止する連邦政府のガイドラインに従うことが重要だとくぎを刺した。また、ワクチン接種の資格を得た人は速やかに袖をまくり上げるよう呼びかけた。

ホワイトハウスのロン・クレイン大統領首席補佐官はCNNニュースのインタビューの中で、「バイデン大統領は州政府と市民に努力するよう呼びかけました」と述べた。

「大統領はワクチンを全国に展開します。アメリカ人は自分たちの役割(ワクチンの接種と感染予防対策の徹底)を果たさなければならないでしょう」

下院は3月10日にアメリカンレスキュープランを賛成220-反対211で可決した。なお、バイデン大統領は超党派の支持を得たうえで法案を可決したいと望んでいたが、上下両院の共和党員はひとりも賛成票を投じなかった

Pew Researchが行った最新の世論調査によると、回答者の70%がアメリカンレスキュープランを支持し、共和党支持者の41%も計画に賛成したという。

ホワイトハウスは昨日の声明で、バイデン大統領は3月12日に法案に署名すると発表していたが、予定よりも早く手続きが完了したため、1日前倒しされた。クレイン大統領首席補佐官は、「私たちはできるだけ早く動きたい」とツイートしている。

バイデン大統領は失われた命への思いやりと希望、今後に向けた道筋を示したうえで、政府の感染症最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ博士の話を聞いてほしいと訴えた。

「科学者たちは事態は再び悪化する可能性があることを明らかにしました。私たちは3つのワクチン(ファイザー、モデルナ、J&J)の安全性と有効性を追求し続け、変異種に対応する必要があります」

「コロナとの戦いに勝てるかどうかは一人ひとりの行動にかかっています。どうかワクチンを接種し、マスクを着用し、距離を保ち、ファウチ博士の話を聞いてください」

<演説の要点>
・5月1日までに国内の全ての成人にワクチンの接種資格を与える。

・独立記念日までにある程度の日常(小グループでの集会の許可)を取り戻す。

・獣医師や歯科医師などにもワクチンの接種許可を与え、予防接種を加速させる。

・ファウチ博士の話を聞く。

・アジア系アメリカ人に対するヘイトクライムをやめる。

2021年3月11日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領(AP通信/アンドリュー・ハーニック)

アメリカンレスキュープラン

アメリカンレスキュープラン:約1.9兆ドル(200兆円)
2021年2月27日、下院通過

2021年3月6日、上院通過

2021年3月10日、下院通過

2021年3月11日、バイデン大統領署名

COVID-19経済救済法:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する

2020年12月21日、下院通過

2020年12月21日、上院通過

2020年12月27日、トランプ大統領署名

・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)
2019年7月下院通過

2020年3月25日上院通過

2020年3月27日下院、上院の修正に同意

2020年3月27日トランプ大統領署名

予算の内訳(抜粋)

<市民への直接支給>
予算4,650億ドル:
・年収75,000ドル未満の個人に1,400ドル(約15万円)。
年収100,000ドル未満の個人に部分支給
・年収80,000ドル未満の個人に部分支給。(修正)

<失業保険手当>
予算3,500億ドル:
1人毎週300ドルから400ドルに増額する。期間は9月まで
・1人毎週300ドルを至急。期間は9月6日まで。(修正)

<コロナワクチン・検査・追跡>
予算1,600億ドル:地域予防接種センター開設に200億ドル、学校のコロナ検査体制整備に500億ドルなどを提供。

<食糧支援>
予算数百億ドル:フードバンクへの給付を15%増額し、期限を9月まで延長。

<中小企業支援>
予算500億ドル:既存の中小企業向け支援「ペイチェック保護プログラム(PPP)」とは別の新しい中小企業を対象とした女性プログラムを提供。また、州、地方、部族、非営利団体向けの資金調達プログラムに350億ドルを投資。

<学校再開>
予算1,700億ドル:学生の学問的、社会的、感情的、精神的健康のニーズを満たすために1,300億ドル投資。コミュニティカレッジを含む公立大学、公立および私立の歴史的黒人大学と少数派奉仕機関に350億ドルを寄付。教育プログラム支援予算として州知事に50億ドルを提供。

<育児>
予算数百億ドル:チャイルドケアプロバイダーを支援するために、250億ドルの緊急基金を創設。既存のチャイルドケアおよび開発ブロック助成プログラムに150億ドルを投資。

<メンタルヘルスサービス>
予算数十億ドル:薬物乱用・精神保健サービス局と保健資源・サービス局に40億ドルを投資。

<立ち退きモラトリアム>
パンデミックの期間中に失業した低中所得世帯向けの賃借支援に250億ドル。賃借人の光熱費サポートに50億ドル。立ち退きモラトリアムを9月30日まで延長。

<州ヘの支援>
州政府、地方政府、および準州政府の支援に3,500億ドル。

<税額控除の一時的な増加>
児童税額控除の引き上げに1,200億ドル。(6歳未満:年間3,600ドル、6歳~17歳:年間3,000ドル)

<健康保険料補助金>
失業などで健康保険を失った人の保険料を助成したい。オバマケアの保険料補助金の増額。

<緊急有給休暇>
有給の病気および家族休暇手当の復活。病気、検疫、学校の閉鎖で子供の世話をしている人に14週間の有給休暇を保証する。

<飲食業界>
レストランの助成プログラムに286億ドル。

<最低賃金引き上げ>
時給15ドルに段階的に引き上げ。(削除

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