◎司法省は数日中に上告する予定と伝えられている。
2021年10月2日/テキサス州ヒューストン、中絶禁止法に反対する抗議者(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

10月15日、ホワイトハウスは中絶をほぼ全面的に禁止するテキサス州の州法を阻止するよう最高裁判所に求めると発表した。

テキサス州が先月施行した通称「ハートビート法(TX SB8)」は妊娠6週目以降の女性に中絶手術を提供した医師と、中絶に関与した個人や団体に最大10,000ドル(約110万円)の損害賠償を起こす権利を「民間人」に与えるため、多くの専門家が「賞金稼ぎ訴訟」を誘発する可能性があると警告していた。

アメリカ自由人権協会を含む権利団体は最高裁判所にハートビート法を停止するよう求めたが、判事は訴えを棄却し、1973年のロー対ウェイド判決で認められた中絶の権利が初めて覆されることになった。

※ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁判所は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。

ジョー・バイデン大統領は合衆国憲法で保障される権利を引用したうえで、ハートビート法を禁止するために戦うと誓った。ロー対ウェイドの判決以来、米国の女性は胎児を自分の意思で中絶する権利を保障されていた。

テキサス州の地方裁判所は6日、バイデン政権の差し止め請求を認め、テキサス州にハートビート法を一時的に停止するよう命じた。ロバート・ピットマン判事は判決文の中で、「ハートビート法は合衆国憲法で保障されている女性の権利を不法に妨げた」と述べた。

しかし、テキサス州の控訴裁判所は先週、ビットマン判事の判決を覆し、ハートビート法に対する一時停止命令を取り消した。主要メディアによると、控訴裁判所は新たな訴訟や差し止め請求が提起された場合も、判決が下るまでハートビート法は機能し続けると強調した。

司法省は数日中に上告する予定と伝えられている。

テキサス州最大の妊娠中絶反対グループであるテキサス・ライト・トゥ・ライフは、中絶提供者に対する申し立ての方法を詳述したが、今のところ訴訟は発生していない。

グループの広報担当であるキンバリン・シュワルツ氏は14日、AP通信の取材に対し、「バイデン政権の上告は想定済み」と述べ、「米国民の命を救おうとする私たちの努力は、ジョー・バイデンやその他の攻撃者を打ち負かすと確信している」と力強く語った。

共和党の支配下に置かれている20以上の州は先月、地方裁判所にロー対ウェイドの判決を破棄するよう求めた。

最高裁判所の判事は保守派で占められており、昨年ドナルド・トランプ前大統領に指名されたエイミー・コニー・バレット判事は敬虔なカトリック教徒で、中絶や同性愛者の結婚に強く反対していると信じられている。

2020年10月26日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、最高裁判所判事宣誓式、宣誓するエイミー・コニー・バレット裁判官(ロイター通信)
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