◎両国はさらなる核軍備管理に向けた対話を開始し、外交使節をお互いの首都に戻すことに合意した。
6月16日、ジョー・バイデン大統領とウラジーミル・プーチン大統領はジュネーブ会談を称賛したが、米ロの冷え切った関係が改善する兆しは見られず、主要な安全保障上の問題もほとんど解決されなかった。
バイデン大統領は会談後の記者会見で「意見の相違はあるが、ロシアは新たな冷戦を望んでいない」と述べた。しかし、「プーチン大統領の独裁的かつ危険な行動を変えることができるか?」と記者から質問されると、「自信がない」と弱気な姿勢を見せた。「プーチン大統領のやり方を変えるためには、彼の地位を低下させるしかありません。それを実行するためには、世界の協力が欠かせません...」
プーチン大統領は、「バイデン大統領は経験豊富な政治家であり、私たちは同じ言語で会談することができた」と語った。
首脳会談は予定よりも短い約3時間で打ち切られた。
バイデン大統領はロシアとの協議に時間を費やす必要はなく、「冷え切った関係を改善する見通しは立っている」と主張した。
バイデン大統領はプーチン大統領にアビエイター(サングラス)をプレゼントしたと伝えられている。プーチン大統領が贈り物をしたかどうかは明らかにされていない。プーチン大統領は2018年、ヘルシンキで開催された米ロ首脳会談でゴルフマニアのドナルド・トランプ前大統領にサッカーボールをプレゼントした。
両国はさらなる核軍備管理に向けた対話を開始し、外交使節をお互いの首都に戻すことに合意した。アメリカは2020年の大統領選挙にロシアが関与した疑惑を受け、3月に大使を帰国させていた。
しかし、サイバー攻撃問題、ウクライナ問題、ジョージア問題、野党党首アレクセイ・ナワルニー氏の毒殺未遂および投獄問題、ベラルーシ問題など、他の主要な安全保障上の問題に関する発表はなかった。
バイデン大統領は投獄されたナワルニー氏が死亡した場合、「ロシアは壊滅的な結果に直面する」と警告した。
サミット前、プーチン大統領は「米ロの関係はここ数年で最低点まで悪化した」と述べていた。
プーチン大統領は16日の記者会見で、「妥協案は見つかると信じている」と述べ、囚人(元米海兵隊員のトレバー・リード氏とポール・ウィーラン氏)の釈放もあり得るとほのめかしたが、具体的な内容については言及しなかった。
また、アメリカ政府や特定の企業に対するサイバー攻撃問題への関与を否定し、ロシアは関係ないと宣言した。
一方、バイデン大統領は、「プーチン大統領にアメリカの重要なインフラに対するハッキングやその他の攻撃を禁止しなければならないと伝えた」と述べた。「プーチン大統領にロシアのパイプラインが乗っ取られたらどう思うかと質問しました。彼は極めて遺憾であり、国家として対処しなければならないだろうと答えました」
バイデン大統領はロシアが国際規範に違反した場合、報復すると約束した。
両首脳の人権に関する考えは大きく異なっていた。
バイデン大統領は先日24日間のハンガーストライキを決行したアレクセイ・ナワルニー氏の扱いと一連の事件に懸念を示したが、プーチン大統領はこれを却下した。
プーチン大統領は、「ナワルニー氏はロシアの法律を無視し、ドイツで治療を受け、投獄されることになったと報告を受けている」と述べた。ナワルニー氏はプーチン大統領の勅命を受けたエージェントに毒殺されかけたと信じられている。
プーチン大統領は、ロシアは1月6日のDC議会議事堂襲撃事件やブラック・ライヴズ・マターのような抗議運動がアメリカ国内で発生することは望んでいないと強調した。バイデン大統領に「殺人者」と呼ばれたプーチン大統領は3月、ブラック・ライヴズ・マター運動の引き金となったジョージ・フロイド氏の死について、「アメリカこそ無実の黒人を殺している」と反論していた。
バイデン大統領は記者会見の中で「プーチン大統領を信頼しているか?」という質問にうなずいたように見えた。しかし、ホワイトハウスは直後のツイートで、「バイデン大統領はジャーナリストの話を聞きうなずいているだけで、質問に答えたわけではない」と補足した。
またバイデン大統領はCNNのジャーナリストに、「プーチン大統領との関係を改善できる見通しが立った理由を説明してほしい」と質問されると明らかにイライラした様子で、「見通しが立っていなければ大変なことになる」と反論した。反論後、バイデン大統領はCNNに謝罪した。
<合意に至ったもの>
・新戦略兵器削減条約(新START)に基づく核軍備管理に向けた対話の開始。
・大使の帰国
<合意に至らなかったもの>
・サイバー攻撃問題
・ウクライナ問題
・ジョージア問題
・アレクセイ・ナワルニー問題
・ベラルーシ問題
・その他の様々な安全保障問題