◎バイデン大統領は記者団に「パンデミックという地獄を管理する」と述べ、コロナの根絶に向けた戦いを開始すると宣言した。
◎大統領令は議会の承認を必要としないが、それを実行するための予算の多くは、先日バイデン大統領が示した新コロナ救済法案(約1.9兆ドル)に含まれている。
1月21日、ジョー・バイデン大統領はコロナウイルスを抑え込むための大統領令に署名した。
バイデン大統領は記者団に「パンデミックという地獄を管理する」と述べ、コロナの根絶に向けた戦いを開始すると宣言した。
ジョー・バイデン大統領:
「コロナウイルスを放置した結果、私たちはこの混乱に巻き込まれた。そしてこれを好転させるためには数ヶ月かかる」
<この日署名した10の大統領令の要点>
・国防生産法によるワクチン生産および接種の加速。
・国防生産法による個人用防護具(PPE)の生産体制強化。
・検査体制の強化。
・ワクチン接種センターの全国展開(全国スタジアム、コミュニティ施設、薬局などを使用)。
・入国者に対する検疫体制の強化。
・マスク着用および社会的距離の規則の制定。
・公共交通機関利用時のマスク着用義務化。
・地方自治体を支援するコロナ対策施設の設置。
・100日以内の学校の再開およびそれに向けた支援の提供。
・教育、保健、福祉部門に学校を安全に再開するガイダンスの作成を指示。
当局者によると、「前政権はN95や高品質のサージカルマスク、医療用ガウン、その他の必要装備品や機器などの在庫および供給レベルの情報などを全く制御できていなかった」という。
一方、疾病予防管理センター(CDC)は、国内の累計死亡者は2月中旬までに50万人を超えると予測しており、現在の感染状況が劇的に改善することはないと警告した。
科学者や専門家はバイデン大統領の計画を歓迎した。しかし、一部の専門家は、「この計画は1年前に開始していなければならず、現在の猛烈な感染状況下で発出しても効果は薄いかもしれない」と指摘した。
ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、アメリカの累計感染者数は1月21日時点で2,470万件、累計死亡者は41万人に達し、第二次世界大戦で死亡した米兵の数(40.5万人)を上回った。
バイデン大統領はワクチンの展開状況について、「前政権の政策は完全に失敗だった。就任後100日以内の1億回投与計画は、アメリカ史上最大の課題の1つになるだろう」と述べた。
記者から、「公衆衛生の専門家は目標が低すぎると指摘している」と質問されると、「私が100日以内の1億回投与をキャンペーン中に提案した時、誰もが不可能だと言った」と反論した。
またバイデン大統領は、政策の透明性を保ち、科学者がホワイトハウスから干渉や圧力を受けずに働けることを保証すると誓約した。
その後、新政権のチーフメディカルアドバイザーに就任したアンソニー・ファウチ博士がワクチンの展開状況について説明し、「今回の大統領令でワクチンの供給は増幅する」と述べた。
アンソニー・ファウチ博士:
「夏の終わりまでに人口の70~85%が予防接種を受けた場合、秋までにはある程度日常を取り戻すことができるだろう。そして、私たちはワクチンに懐疑的な人々を説得しなければならない。ワクチンを供給できても、会場に人が集まらなければ意味がない」
「一部の地方当局者からワクチンの追加供給依頼を受けていることは皆承知している。新政権はより多くのワクチンを生産するために、製薬会社と話し合っている...私はここに立ち、コロナに関係する証拠、科学とは何かについて話すことができることを嬉しく思う」
「トランプ前大統領の下でも様々な提案をしたが、私が何か言ってもそれは政策に反映されず、何の影響も与えられなかった」
「今は喫緊の課題に加えて、ウイルスの突然変異、特に南アフリカで出現したものは、ワクチンの効果をいくらか低下させる可能性があると考えられている。私たちはそれに細心の注意を払っている」
21日の大統領令におけるマスクの着用義務化の対象は、空港、飛行機、船、バス、電車、その他の公共交通機関すべて。なお、連邦資産内のマスク着用は20日の大統領令で義務化された。
海外から入国する者は、出発前の検査で陰性を証明し、入国後も検疫下(自己隔離)に置かれる。また、これらは全て連邦政府の命令なので、違反した者は処罰される。
アメリカのワクチン供給体制は大統領令発出前の時点で1日100万件に迫っており、一部の専門家は1日200万~300万件を目指すべきだと主張している。
大統領令は議会の承認を必要としないが、それを実行するための予算の多くは、先日バイデン大統領が示した新コロナ救済法案(約1.9兆ドル)に含まれている。この法案を速やかに可決するためには、上下両院の協力を得なければならない。
新コロナ救済法案(バイデンプラン)について
・CASH法案→バイデンプラン:1.9兆ドル(約200兆円)
2021年????、下院通過↓
2021年????、上院通過
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2021年????、バイデン大統領署名
<バイデンプランの要点>
・市民への直接支給:1人最大1,400ドル。
・失業保険手当を1人毎週300ドルから400ドルに増額する。(期間は9月まで)
・児童税控除:9月まで延長。
・立ち退きモラトリアム:9月まで延長。
・就任後100日以内に全学校を再開させる予算:1,300億ドル
・学校のコロナ検査体制整備予算:500億ドル
・地域予防接種センター開設予算:200億ドル
・就任後100日以内にワクチン接種1億回を達成する。
・COVID-19経済救済法:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
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2020年12月21日、下院通過
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2020年12月21日、上院通過
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2020年12月27日、トランプ大統領署名
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)
2019年7月下院通過
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2020年3月25日上院通過
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2020年3月27日下院、上院の修正に同意
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2020年3月27日トランプ大統領署名