◎バイデン大統領が共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首はケビン・マッカーシー下院少数党首をホワイトハウスに招くのは初めて。
5月12日、ジョー・バイデン大統領はホワイトハウスに共和党と民主党の指導者を招き、約2.3兆ドル(250兆円)のインフラ計画について話し合った。
バイデン大統領は共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首はケビン・マッカーシー下院少数党首の理解を得たうえで「アメリカン・ジョブズ・プラン」を成立させたいと考えている。民主党のチャック・シューマ―上院院内総務とナンシー・ペロシ下院議長はインフラ計画に賛同している。
バイデン大統領がマコーネル氏とマッカーシー氏をホワイトハウスに招くのは初めて。マコーネル氏は先日の記者会見で「民主党の無謀な計画を阻止することに100%集中している」と述べていた。
会談後、共和党のボスはホワイトハウスの記者団に、「2時間の話し合いはほぼインフラ計画に焦点を当てていた」と述べた。
マコーネル氏はインフラ計画に対する楽観的な見方を示したうえで、法人税率を35%から21%に引き下げた前政権の政策を評価し、「21%がレッドラインだ」と強調した。バイデン大統領は計画で生じる負債を法人税率の引き上げ(21%→28%)などで賄いたいと考えているが、共和党と一部の民主党員はこれに反対している。
マッカーシー氏は記者団に対し、「超党派で前に進みたいという願望はある」と述べた。「私たちはインフラを定義することから始めたいと思っています。超党派で進むことには合意しました。まず、道路や鉄道はインフラですが、家族の健康はインフラではありません。高速道路、鉄道、空港、橋、ブロードバンドはインフラですが、介護支援はインフラではありません」
バイデン大統領は計画の中に「介護サービスの拡充」「労働力の開発(主に教育)」「クリーンエネルギー関連のプロジェクトへの投資」などの予算を盛り込んでいる。
バイデン大統領は冒頭の挨拶で、上下両院の指導者と話し合えることを嬉しく思うと述べた。「私は就任時、民主党の大統領になるつもりはないと約束しました。私はアメリカの大統領になるつもりです」
「私は妥協点を決めています。今日は国民の仕事とインフラを強化する計画の妥協点に到達できるかどうかを話し合う予定です」
ホワイトハウスによると、この会談は両党の政策分野について話し合うために設定されたという。会談前の取材時間は限られており、記者から質問を受けたバイデン大統領は、「指をパチンと鳴らせば、法案は議会を通過するだろう」と皮肉を込めて答えた。
マコーネル氏はバイデン大統領の目の前で、インフラ計画の予算は8,000億ドル(約87兆円)以下と考えていると述べた。
この日、下院共和党は議会議事堂で非公開会議を開催し、ワイオミング州選出のリズ・チェイニー下院議員を党の指導部から外すことを決めた。
バイデン大統領は執務室から退出するよう促された記者のひとりに、「下院共和党はドナルド・トランプ前大統領の虚偽に反対したチェイニー議員を解任したが、共和党を信頼するのか?」と質問を受け、「はい」と答えたように見えた。
共和党は法案の予算額と法人税の引き上げなどに強く反発しており、超党派で進まないのであれば必ず阻止すると誓約している。
上院共和党は議事妨害(フィリバスター)で法案の通過を阻止できるが、バイデン大統領は以前の声明で議事妨害を阻止できる特別な予算プロセスを使う可能性を否定しなかった。3月末に成立した約1.9兆ドル(200兆円)のコロナ救済法はこの予算プロセスを使っている。
This morning, Vice President Harris and I met with a bipartisan group of Congressional Leaders. As I’ve said before, we can’t let the divisions of the present stop us from doing right by the future. We’re committed to working together to build back better for the American people. pic.twitter.com/EaR5vwPoaj
— President Biden (@POTUS) May 12, 2021
アメリカン・ジョブズ・プランの要点
<高速道路とその他の道路の改修費用:1,150億ドル(約12.8兆円)>
ホワイトハウスによると、道路約32,000km、重要な橋、その他の約10,000の小さな橋を改修する予定だという。
<公共交通機関の改修:850億ドル(約9.4兆円)>
<貨物鉄道の改修:800億ドル(約8.9兆円)>
北東部の貨物路線の改修がメインになると伝えられている。
<電気自動車関連のインフラ整備:1,740億ドル(約19兆円)>
電気自動車用の充電ステーションを全国に50万カ所建設する。
<空港の改修:250億ドル(約2.8兆円)>
<河川と港の改修:170億ドル(約1.9兆円)>
<高速道路建設の影響を受けたコミュニティに対する補償:200億ドル(約2.2兆円)>
<自然災害対策強化:500億ドル(約5.5兆円)>
<鉛水道管の交換と下水道システムの改修:1,110億ドル(約12兆円)>
<5Gを含む高速ブロードバンドの構築:1,000億ドル(約11兆円)>
<全国の電力網の整備とクリーンエネルギーへの移行:1,000億ドル(約11兆円)>
<低所得者向けの手頃な価格の住宅約200万棟の建設と改修:2,130億ドル(約24兆円)>
<学校の建設と改修:1,000億ドル(約11兆円)>
<退役軍人病院と診療所の整備:180億ドル(約2兆円)>
<連邦政府の施設の改修:100億ドル(約1.1兆円)>
<介護サービスの拡充:4,000億ドル(約44兆円)>
<クリーンエネルギーなどの開発プロジェクトへの投資:1,800億ドル(約20兆円)>
<クリーンエネルギー関連の製造業への投資:3,000億ドル(約33兆円)>
<新たな労働力の開発:1,000億ドル(約11兆円)>
◎法人税率を21%から28%に引き上げる。
◎企業に21%のグローバル最低税を課し、節税対策を打ち負かす。
◎企業に15%の最低税を課す。
◎化石燃料業界に与えられた税制上の優遇措置を廃止する。
◎大企業に対するIRS監査を強化する。