◎ジョー・バイデン大統領は国民の投票する権利を連邦レベルで守ると約束しているが、頑固な上院共和党の壁を打ち砕くことはできず、一部の進歩的な民主党員から批判を浴びている。
2021年7月13日/ペンシルベニア州、フィラデルフィアの国立憲法センター(エヴァン・ヴッチ/AP通信)

7月13日、ジョー・バイデン大統領は共和党の差別的な投票法を却下し、合衆国憲法によって保障されている投票権を維持すると宣言した。

バイデン大統領は国民の投票する権利を連邦レベルで守ると約束しているが、頑固な上院共和党の壁を打ち砕くことはできず、一部の進歩的な民主党員から批判を浴びている。

ペンシルベニア州フィラデルフィアの国立憲法センターで演説したバイデン大統領は、共和党の差別的な投票法および投票法案を「非アメリカかつ非民主的」と非難したうえで、「差別投票法を無効にし、最高裁判所によって抑圧された投票権法の一部を回復する議案の可決は国家の義務」と述べた。

しかしバイデン大統領は、一部の進歩的な民主党員が主張している上院共和党の壁を打ち砕く議事妨害(フィリバスター)規則の見直しには言及しなかった。

上院野党の議事妨害を阻止するためには賛成票が60票必要であり、現在の上院勢力(民50ー共50)でこれを達成することはほぼ不可能だが、進歩的な民主党員は「賛成票数を51票に変更すべき」と主張している。

予算法案は議事妨害の影響を受けない特別なプロセスを利用可能だが、それ以外は対象外であり、頑固な共和党が反対する議案はほぼ間違いなく上院で阻止されることになる。

バイデン大統領は議事妨害の見直しには言及せず、2022年の中間選挙に向け、共和党の投票法の問題点とそれを是正することの重要性を有権者に伝える全国規模のキャンペーン活動を開始すると明らかにした。「私たちは準備しなければなりません...」

議会民主党は投票権を保護する「人々のために法案(For the People Act)」の成立を目指していたが、6月末に廃案に追い込まれた。

一方、テキサス州の民主党員は共和党の差別的な投票法案の可決を阻止するために、同州からワシントンD.C.にプライベートジェットで高飛びした。民主党員が同州の定足数を破ったのは5月末に続き、今年2回目。

民主党のチャック・シューマ―上院院内総務はテキサス州から逃れた民主党員との会談に先立ち、記者団に「法案を殺す」と語った。

<テキサス州の投票法案の要点>
・ドライブスルー投票を禁止する。
・24時間投票所の開設を禁止する。
・郵便投票(期日前投票)用ドロップボックスの設置を禁止する。
・投票監視員の権限を強化する。

しかし、ワシントンD.C.に到着したクリス・ターナー州下院議員は、議会の民主党員が大胆な行動を取らなければ、テキサス州の差別法はいずれ可決されるだろうと予測した。同州のグレッグ・アボット州知事は高飛びした民主党員を厳しく非難し、「法案の審議が始まるまで特別会期を召集し続ける」と誓っている。

ターナー州下院議員は記者団に「時間は限られている」と語ったうえで、議事妨害の見直しに向けた手続きを進めるようバイデン大統領に圧力をかけた。「テキサスの共和党員を抑える時間は限られています。議会の指導者たちは限られた時間を賢く使ってください」

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は12日、「バイデン大統領は投票する権利を否定することは抑圧のひとつであり、その危険性をあらためて国民に呼びかけるでしょう」と述べた。

副報道官のカリーヌ・ジーン・ピエール氏は記者から、「バイデン大統領はテキサスの逃亡劇を正しい判断と思うか?」と質問され、「勇気を称賛するだろう」と答えた。「政権はテキサス州の法案を民主主義への暴行と呼んでいます。バイデン大統領は彼らの勇気を称賛するでしょう...」

現地メディアによると、議会の民主党員は新しい投票法案を準備しているが、上院を通過する見通しは立っていないという。

上院議事妨害規則への注目は日に日に高まっており、進歩的な民主党員は見直しに向けた準備を速やかに開始するよう訴えているが、一部の穏健派民主党員は見直しに消極的と伝えられている。

進歩的な民主党員は議事妨害の見直しに消極的なホワイトハウスに不満を表明している。また一部の市民権活動家も、「バイデン大統領は差別投票法で危機にさらされている多くの黒人有権者から支持を得て当選したことを忘れてはならない」と圧力をかけた。

元上院議員であるバイデン大統領は、民主党と共和党の争いを議事妨害の見直しで解決することは事態を悪化させるだけと信じている。一部の専門家も、「野党に与えられた権利を保証することは重要であり、両党は協議を重ねて問題を解決しなければならない」と指摘した。

2021年7月13日/ペンシルベニア州、フィラデルフィアの国立憲法センター、ジョー・バイデン大統領(エヴァン・ヴッチ/AP通信)

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