米財務長官がカナダ首相に警告、USMCA交渉どうなる
カーニー氏は先週、スイスのダボス会議(世界経済フォーラム)で「大国による経済的強制を批判する」という内容の演説を行い、米国の貿易戦略を暗に批判した。
とカナダのカーニー首相(AP通信).jpg)
米国のベッセント(Scott Bessent)財務長官は28日、カナダのカーニー(Mark Carney)首相に対し、米国の貿易政策を公然と批判する発言は「戦いを挑む」行為になりかねず、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)見直しを控えた時期として適切ではないと警告した。ベッセント氏はCNBCのインタビューで、「USMCAの協議入り前に安易な政治的得点を狙って戦いを挑むべきではない」と述べ、発言の是非を巡り両国間の緊張が高まっていることを示唆した。
USMCAは2020年に第1次トランプ政権下で署名され、メキシコとカナダに対し関税の影響を軽減する枠組みとなっている。だが、カーニー氏は先週、スイスのダボス会議(世界経済フォーラム)で「大国による経済的強制を批判する」という内容の演説を行い、米国の貿易戦略を暗に批判した。
この演説を受け、トランプ氏はカナダが中国との貿易協定を追求していることに対し、カナダから輸入品に対して100%の関税を課す可能性を示唆するなど強硬な姿勢を見せた。ベッセント氏はこうした状況を念頭に、「自身の政治的キャリアのために発言しているのか、それともカナダ国民の利益のために働いているのかを考えるべきだ」とカーニー氏を牽制した。
またベッセント氏はカーニー氏の経歴に触れ、中央銀行総裁から政治家への転身がうまくいった例を見たことがないと皮肉を交えて批判した。一方で、カナダとの協議については慎重ながらも楽観的な見方を示し、「最終的には良い方向に進むだろう」と述べ、交渉が必ずしも順調な直線を描かない可能性を示唆した。
ベッセント氏の発言は、トランプ政権がUSMCAの見直しを控える中で出されたもので、両国関係に新たな緊張をもたらしている。トランプ政権はここ数カ月、カナダとの貿易や関税を巡り強硬な姿勢を強めており、両国間の摩擦が表面化している。カナダ政府は依然としてUSMCAへのコミットメントを強調しているが、対中貿易や国際的な経済政策を巡る立場の違いが交渉に影響を与える可能性がある。
これに対してカーニー氏は28日、トランプ(Donald Trump)大統領との電話会談で発言を撤回したとされる点について、「ダボスで述べたことは撤回していない」と改めて明言した。カーニー氏は記者団に対し、「私はダボスで言ったことをトランプ大統領にも伝えた」と述べ、発言の意図と立場を明確にした。
USMCAの協議入りは北米三国にとって経済と貿易の枠組みを再確認し強化する機会となるが、各国の政策の違いや国内政治の影響が交渉に影を落としている。今後の協議でどのような合意点が見いだされるかは、米加両政府の調整能力にかかっている。ベッセント氏の警告は協議入りを前に、慎重な対応を求めるメッセージとして受け止められている。
