トランプ氏のクレジットカード年利10%の上限提案、期限迫る
トランプ氏の要求は消費者負担軽減を狙ったものであるが、業界側には法的根拠や実施方法に関する明確な指針が示されておらず、混乱が続いている状況だ。
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トランプ(Donald Trump)米大統領がクレジットカードの利率を「年率10%」までに制限するよう業界に要求している件で、1月20日とされる期限が迫る中、銀行や金融業界は具体的な対応策や実行可能性について依然として多くの疑問を抱いている。トランプ氏の要求は消費者負担軽減を狙ったものであるが、業界側には法的根拠や実施方法に関する明確な指針が示されておらず、混乱が続いている状況だ。
トランプ氏は先週、クレジットカード会社に対し、年利10%の上限を設けるよう求め、1月20日までの対応を呼びかけた。ホワイトハウス報道官は記者会見で、「トランプ大統領の要求は期待であり、率直に言えば要求だ」と述べたものの、期限後に上限に従わない企業に対してどのような措置が取られるかについて具体的な説明はしていない。このため銀行側や政治家、消費者団体など関係者の間では不確実性が広がっている。
専門家の研究によると、もしクレジットカードの利率が10%に制限されれば、米国の消費者は年間で約1000億ドル程度の利子支払いを節約できると試算される。この研究では、カード発行会社が利益を大幅に減らすことになる一方で、報酬プログラムや特典を縮小するなどの調整を行えば業界全体としては収益性を維持可能とする見方も示されている。
しかし、利率上限の導入には法的な障壁がある。2008年の金融危機後に制定された「ドッド=フランク法(Dodd-Frank Act)」は、少なくとも1つの連邦規制当局が貸付の高金利制限(高利貸しの制限)を設定することを明示的に禁じており、上限設定には議会の承認が必要となる可能性が高い。議会では過去に利率上限を設ける法案が提出された例もあるものの、共和党の指導部は慎重な姿勢を崩していない。
このためトランプ政権は、法律による強制措置ではなく政治的な圧力を通じて業界の自主的な対応を促す形を模索していると見られる。同様の手法は、過去に医薬品価格の引き下げや半導体製造の国内回帰など、他の産業に対しても用いられてきた。
金融大手JPモルガン・チェースやシティグループなどは、利率上限の導入には強く反対する姿勢を示している。これら銀行の幹部は、利率制限が信用供与の制約や経済への悪影響を招く可能性があると警告しつつも、消費者負担の問題への対応には協力する意向を示す場面もある。
一方で、フィンテック企業の中にはトランプ氏の要求に先んじて独自に年利10%のクレジットカード商品を提供する動きも出ている。例えば「Bilt」は新たなカードで、初年度の購入分に対して10%の利率を適用する商品を打ち出し、低金利カード市場での先行例を示した。こうした動きが業界全体の対応モデルとなる可能性も指摘されている。
トランプ氏の利率上限要求を巡る混乱は、今後の米国の金融政策や消費者金融市場に大きな影響を与える可能性がある。銀行側は具体的な規制内容の提示を求めており、ホワイトハウスと業界との間でどのような折衝が行われるかが焦点となっている。
