◎連邦最低賃金を2025年までに段階的に時給15ドルまで引き上げる計画は却下された。
アメリカンレスキュープラン
・アメリカンレスキュープラン:約1.9兆ドル(200兆円)
2021年2月27日、下院通過↓
2021年3月6日、上院通過
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2021年3月??、下院通過
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2021年3月??、バイデン大統領署名
・COVID-19経済救済法:9,000億ドル
2020年12月20日、上下両院の指導者が合意に達する
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2020年12月21日、下院通過
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2020年12月21日、上院通過
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2020年12月27日、トランプ大統領署名
・コロナ援助、救済、および経済安全保障法(CARES法):2.2兆ドル(230兆円)
2019年7月下院通過
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2020年3月25日上院通過
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2020年3月27日下院、上院の修正に同意
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2020年3月27日トランプ大統領署名
3月6日、上院は25時間以上続いたマラソン討論会の末に、1.9兆ドル(200兆円)のアメリカンレスキュープランを可決した。(賛成50ー反対49、欠席1)
議会に収容された上院議員たちは眠気と闘い、何人かは目を休ませつつ居眠りをしていた。民主党のブライアン・シャッツ上院議員(ハワイ州)は議会内を小走りで移動し、眠気と闘った。
投票を欠席したのは共和党のダン・サリバン上院議員(義父の葬式に出席)のみ。カマラ・ハリス副大統領のタイブレーク票は必要なかった。
上院は同法案の一部を修正したため、近日中に下院で再審議が行われる予定。下院民主党は修正箇所を調整し、可決後ジョー・バイデン大統領に法案を提出する。
上院民主党は失業手当の支払い額を1人週400ドルから300ドルに減額することに同意した。支給期間は9月6日まで。
市民への直接支払いでも民主党は譲歩した。年収75,000ドル未満の個人(カップルは150,000ドル)に対する1,400ドルの支給は確保したが、部分的な支払いの対象者は年収100,000ドル未満から80,000ドル未満に引き下げられた。
そして、連邦最低賃金を2025年までに段階的に時給15ドルまで引き上げる計画は却下され、民主党の進歩主義者たちは憤慨した。なお、バイデン大統領もこの計画を猛プッシュしていた。
民主党のバーニー・サンダース上院議員は賃金引き上げを盛り込んだ修正案を提出したが、8人の民主党員がこれに反対した。サンダース氏は投票後の声明で、「上院は3,200万人のアメリカ人の昇給に反対しました。一部の議員はこの計画を審議するのはこれで最後だと思っているようですが、大きな間違いです」と述べた。
民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は午後の記者会見で法案の通過を称賛し、次のように述べた。
「アメリカンレスキュープランは貧しい人々や働く人々を助ける過去数十年で最も重要な法案のひとつです。バイデン大統領はリーダーシップを発揮し、この素晴らしい計画をまとめました」
「私は最初から力づくで法案を可決するつもりでした。私たちは団結し、法案を通過させました」
一方、共和党のミッチ・マコーネル上院少数党首は数十の修正案を提出し法案を書き換えると誓約していたが、提案は投票でほとんど却下された。ただし、最も強く反発していた最低賃金の引き上げのブロックには成功している。
バイデン大統領は6日午後の記者会見で法案の通過を祝った。
「国民はこの法案を強く支持しています。私たちの仕事は国民が本当に必要としているものを提供することです。共和党の友人たちにもこの考えは浸透し続けるでしょう。民主党の考えに理解を示す共和党員はたくさんいます。彼らは反対派に圧力をかけています。そして、私も反対派から支持を得ることをあきらめていません」
またバイデン大統領は失業手当の減額、直接支給の対象者の一部修正に進歩的な民主党員が不満を抱いているという考えを却下した。
「彼らはイライラしていません。バーニー・サンダースはアメリカンレスキュープランをこれまで見た中で最も進歩的な法案と言いました。修正はありましたが、最終結果は私たちの提案とほぼ同じです。私が盛り込んだ国民が必要としているものは変わりませんでした」
しかし、サンダース上院議員を含む進歩的な民主党員は最低賃金の引き上げ失敗に強く反発しており、専門家は「共和党の要求を受け入れた超党派との溝はさらに深まった」と指摘している。
ホワイトハウスはコロナ救済以外の新たな法案の上院通過について、厳しい見方をしている。バイデン大統領は約1,100万人の文書化されていない移民に市民権を与える移民法案と、インフラ強化に関する法案を準備している。
バイデン大統領は記者団に対し、アメリカンレスキュープランを含む準備中の法案は、アメリカを回復させる計画のほんの一部に過ぎないと強調した。
「私はビルドバックベタープラン(政権公約)を実行に移します。インフラストラクチャ、製造、イノベーション、研究開発、およびクリーンエネルギー...就任宣言で約束したアメリカを回復させる計画を開始します。今回の法案はそのほんの一部に過ぎません」
民主党のステニー・H・ホイヤー下院議員は6日の記者会見で、法案の投票は3月9日に行うと発表した。
市民への直接支給は3月末までに行われる予定。
予算の内訳(抜粋)
<市民への直接支給>
予算4,650億ドル:
・年収75,000ドル未満の個人に1,400ドル。
・年収100,000ドル未満の個人に部分支給。
・年収80,000ドル未満の個人に部分支給。(修正)
<失業保険手当>
予算3,500億ドル:
・1人毎週300ドルから400ドルに増額する。期間は9月まで。
・1人毎週300ドルを至急。期間は9月6日まで。(修正)
<コロナワクチン・検査・追跡>
予算1,600億ドル:地域予防接種センター開設に200億ドル、学校のコロナ検査体制整備に500億ドルなどを提供。
<食糧支援>
予算未定:フードバンクへの給付を15%増額し、期限を9月まで延長。
<中小企業支援>
予算500億ドル:既存の中小企業向け支援「ペイチェック保護プログラム(PPP)」とは別の新しい中小企業を対象とした女性プログラムを提供。また、州、地方、部族、非営利団体向けの資金調達プログラムに350億ドルを投資。
<学校再開>
予算1,700億ドル:学生の学問的、社会的、感情的、精神的健康のニーズを満たすために1,300億ドル投資。コミュニティカレッジを含む公立大学、公立および私立の歴史的黒人大学と少数派奉仕機関に350億ドルを寄付。教育プログラム支援予算として州知事に50億ドルを提供。
<育児>
予算数百億ドル:チャイルドケアプロバイダーを支援するために、250億ドルの緊急基金を創設。既存のチャイルドケアおよび開発ブロック助成プログラムに150億ドルを投資。
<メンタルヘルスサービス>
予算数十億ドル:薬物乱用・精神保健サービス局と保健資源・サービス局に40億ドルを投資。
<立ち退きモラトリアム>
パンデミックの期間中に失業した低中所得世帯向けの賃借支援に250億ドル。賃借人の光熱費サポートに50億ドル。立ち退きモラトリアムを9月30日まで延長。
<州ヘの支援>
州政府、地方政府、および準州政府の支援に3,500億ドル。
<税額控除の一時的な増加>
児童税額控除の引き上げに1,200億ドル。(6歳未満:年間3,600ドル、6歳~17歳:年間3,000ドル)
<健康保険料補助金>
失業などで健康保険を失った人の保険料を助成したい。オバマケアの保険料補助金の増額。
<緊急有給休暇>
有給の病気および家族休暇手当の復活。病気、検疫、学校の閉鎖で子供の世話をしている人に14週間の有給休暇を保証する。
<最低賃金引き上げ>時給15ドルに段階的に引き上げ。(削除)