◎国連は今年初め、アフリカを 「テロの世界的震源地 」と呼んだ。
米アフリカ軍が主導する合同軍事演習「アフリカ・ライオン」が終了し、同軍司令官が同盟国に関係強化とサハラ砂漠の安全保障を強化するよう呼びかけた。
モロッコのサハラ砂漠で2週間にわたった行われた演習は5月31日に終了。セネガル、チュニジア、ガーナなど、関係国の兵士約8100人が参加した。
同軍のラングレー(Michael Langley)司令官は演習最終日、アフリカ・ライオン創設20周年を記念する式典で「この演習が始まって以来、米国とアフリカの同盟国の関係は深化し続けてきた」と語った。
「2004年以来、この演習は年々成長してきた。一緒に訓練する多国籍軍の数が増えただけでなく、訓練の範囲も、安全保障以上のものにまで広がった」
しかし、F16の華々しいデモ飛行やモロッコ王室の関係者が式典に出席したにもかかわらず、アフリカの一部地域はこの数年でより危険になった。
国連は今年初め、アフリカを 「テロの世界的震源地 」と呼んだ。大陸北西部のモーリタニアから中央部のチャドに広がるサヘル地域ではイスラム過激派が猛威を振るっている。
西アフリカでは2020年以降、過激派による暴力を阻止できない政府に対する不満が噴出し、クーデターが続発。民主的に選出された指導者が次々に追放された。
その最前線にいるマリ、ブルキナファソ、ニジェールは旧宗主国であるフランスとの関係を断ち、ロシアに急接近。マリ軍政はロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、市民を巻き込みながら過激派を掃討している。
国連の推計によると、この3カ国では2021~24年にかけて、過激派の暴力で1万7000人以上が死亡し、数百万人が国外に逃亡したという。
その一部はアフリカ北部のリビアやチュニジア、西部セネガルやモーリタニアなどからボートで出国。イタリア、ギリシャ、スペインへの亡命を試み、数千人が死亡したり、行方不明になっている。