共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務は、アフガニスタンとイラクから米軍の一部を撤退させる計画に強く反対している。
米国務省によると、アフガニスタンとイラクで活動する隊員の数をそれぞれ2,500人まで削減する予定だという。
トランプ大統領は就任当初から海外で活動する米兵を帰国させると主張し、軍事介入を批判してきた。
しかし、共和党のボス、マコーネル上院院内総務はこの計画を「間違い」と呼んでいる。
さらに、「ホワイトハウスを去る前に」防衛と外交政策に関する大きな変化を実行すべきではないと警告した。
反抗的なトランプ大統領は民主党のジョー・バイデン氏に敗れたことを認めておらず、共和党員からも非難されている。
なお、バイデン新大統領はアフガニスタン戦争について、「うんざりしている」と述べつつも、「責任を持って戦争を終結させ、アメリカへの脅威を排除し、二度と同じ過ちを繰り返させないようにする」と述べている。
米兵撤退計画
国務省が発表した撤退計画は次の通り。
・イラク:米兵3,000人を2,500人に削減
・アフガニスタン:米兵4,500人を2,500人に削減
クリストファー・ミラー国防長官代理は撤退計画について、「戦争を終結させ、責任ある結論に導き、勇敢な米兵を帰還させるというトランプ大統領の方針を反映している」と述べた。
計画発表直後、バグダッドのグリーンゾーンに数発のロケット弾が撃ち込まれ、米大使館近くに着弾した。なお、死傷者や被害の報告は入っていない。
アフガンとイラクの米兵
米軍は2001年からアフガニスタンに駐留している。
2001年9月11日の同時多発テロから数週間後、アメリカ主導の連合軍は同国からタリバンを追放した。なお、アルカイダは当時アフガニスタンに拠点を置いていた。
その後、タリバンは再編成され、同国のジハード軍の3分の2以上を占める規模になった。
今年2月、アメリカはタリバンとの歴史的な和平協定に署名し、米軍の撤退を開始した。
何千もの米兵が国際連合軍の一部として、現在もイスラム国(IS)グループと戦っている。
共和党員は撤退に批判的
マコーネル上院院内総務と数人の共和党幹部は撤退の加速に懸念を表明した。
テキサス州のマック・ソーンベリー下院議員はこの動きを「間違い」と呼び、米兵の数を減らすことはアフガニスタン戦争を終結させる現在進行中の交渉を弱めると警告した。
上院情報委員会の委員を務めるベン・サス上院議員は削減計画を「弱い後退」と批判し、「根拠なく米兵を削減すれば、アフガニスタンだけでなく世界を危険にさらす」と述べた。
北大西洋条約機構(NATO)事務総長のイェンス・ストルテンバーグ氏は17日の声明の中で、「調整されていない状態で撤退を開始すれば、重い代償を支払うことになる」と警告した。
イェンス・ストルテンバーグ氏:
「過激派勢力は連合軍の力が弱まるタイミングを伺っている」
ミラー国防長官代理は、統合参謀本部議長のマーク・ミリー将軍が計画を承認したかどうかについては言及しなかったが、トランプ最高司令官は同意していると述べた。
またミラー国防長官代理は声明の中で次のように述べている。
クリストファー・ミラー国防長官代理:
「米軍は過激派を打ち負かし、地元のパートナー(タリバン)と同盟国(NATOなど)の戦いを主導するという目標を達成した」
「アメリカは子供たちが背負ってきた永続的な戦争という重荷を解き放ち、アフガン、イラク、そして世界中の平和と安定のために犠牲を払った」
軍事関係予算について強大な権限を持つ下院軍事委員会のアダム・スミス委員長は声明の中で、トランプ大統領の決断を支持した。
アダム・スミス委員長:
「この地域の紛争の歴史は複雑で、私たちが関与するはるか昔から続いていた。しかし、20年近くにおよぶ戦争で私たちは成果を上げた。アメリカとアフガンは暴力を終わらせる準備ができている」