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米国で「バリアフリー・バードウォッチング」人気、移動が難しい人のために

この「バリアフリー・バードウォッチング」は全国的な動きとも連動している。
2026年2月4日/米アリゾナ州ツーソン、バードウォッチングを楽しむ男性(AP通信)

アリゾナ州ツーソンでは、身体的制限や移動が難しい人々がバードウォッチングを楽しめるように、「バリアフリー」の自然散策が各地で実施されている。こうした試みは「Birding for Every BODY(どんな身体の人でも鳥見を)」として知られ、非営利団体の「Tucson Bird Alliance(ツーソン・バード・アライアンス)」とピマ郡が毎月共同で開催しているイベントの中心的な取り組みとなっている。

呼吸器疾患で背中に酸素パックを付けたマーシア・オバラ(Marcia OBara)さんは平坦で安全な道を選び、杖を使いながら参加者と共にゆっくりと鳥を探し歩く。時間に追われることなく、自分のペースで進むこの散策では、参加者同士が互いに支え合いながら自然を楽しむことができる。オバラさんはAP通信の取材に対し、「どれだけ多くの鳥を見つけるかではなく、鳥を見に外に出ることが大切だ」と語った。

この「バリアフリー・バードウォッチング」は全国的な動きとも連動している。その代表例が2018年に設立された非営利団体「Birdability(バーダビリティ)」で、創設者のバージニア・ローズ(Virginia Rose)さんは14歳の時に脊髄損傷で車いすを使用するようになった経験から、障がいのある人でもバードウォッチングを楽しめる環境づくりを目指している。バーダビリティはアクセス可能な散策路の情報や、適応機器、鳥の鳴き声を識別するアプリなどのリソースを提供し、障がいのある人が鳥を楽しむ方法を広めている。

バーダビリティによると、参加者には移動の制限だけでなく、視覚障害、慢性疾患、知的・発達障害、聴覚障害、神経発達症など多様な背景を持つ人々が含まれている。ローズさん自身も複数の障害を抱え、モビリティスクーターを使いながら、アイオワ州アイオワシティのアクセス可能な道を5〜6マイル移動することもあるという。同氏は「冬には自宅のデッキでコーヒーを飲みながら鳥を観察することもある」と話す。

バーダビリティは全米オーデュボン協会と共同で、バリアフリー・バードウォッチングスポットのクラウドソースによるマップも作成しており、自然保護区や公園、野外施設がより多くの人に開かれるよう啓発活動を続けている。また、アクセスしやすい観察法として車内やカヌー、家庭の窓から鳥を見るなど、多様な方法が紹介されている。

オバラさんが参加したツーソンのウォークでは、メスキートの木に止まるプライノペプラや、池で泳ぐマガモといった野鳥が見られ、参加者たちは静かな喜びを感じながら歩みを進めている。参加者の中には杖を使いながら穏やかなペースで歩く人も多く、「ただ外に出て何も考えずに過ごすだけでも素晴らしい」と語る。

こうした取り組みは、障がいによる孤立感を和らげ、バードウォッチングを通じて自然とつながる機会を広げるものであり、主催者や参加者はより多くの人々に参加を呼びかけている。

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