SHARE:

米国の児童ワクチン接種スケジュール変更、注意点5項目

インフルエンザやRSV(呼吸器合胞体ウイルス)、新型コロナなど複数のワクチンについて、従来のように全ての子どもに対して普遍的に接種を推奨しない新ガイドラインが導入された。
インフルエンザワクチン接種(Getty Images)

米国において、 疾病対策センター(CDC)が子どものワクチン接種スケジュールを大幅に見直した。インフルエンザやRSV(呼吸器合胞体ウイルス)、新型コロナなど複数のワクチンについて、従来のように全ての子どもに対して普遍的に接種を推奨しない新ガイドラインが導入された。今回の変更は、これまでの長年にわたる定期接種推奨から大きく方針転換したものとなる。

第一に、CDCは全年齢の子どもに対する普遍的推奨ワクチン数を削減した。これにより、従来は18種類の感染症に対して全児童に接種が推奨されていたが、今回の改訂でロタウイルス、肝炎A・B、髄膜炎、RSV、コロナ、インフルエンザのワクチンが普遍的推奨リストから外れた。これらは今後、特定の高リスク対象者や医療従事者との共有意思決定(shared decision-making)に基づく接種となる。

第二に、 保健福祉省(HHS)は、今回のスケジュール改訂が十分なエビデンスに基づくと主張する一方で、 独立した第三者による評価や査読が行われていないまま変更が実施されたと指摘されている。HHSは声明で「この決定は子どもたちを守り、家族を尊重し、公衆衛生への信頼を再構築する」と述べている。

第三に、CDCは子どものワクチンを三つのカテゴリーに分ける新方針を導入した。従来のようにすべての子どもに接種を推奨するもの、特定の高リスク群向けのもの、医師との相談に基づくものという三分類である。例えば、ロタウイルスやインフルエンザのワクチンは医師の推奨がある場合に限定して接種が促される。引き続きはしか・風しん(MMR)、ポリオ、百日せき、ジフテリア・破傷風、ヒブ、肺炎球菌、HPV(ヒトパピローマウイルス)、水痘などは全ての子どもに推奨される。

第四に、 小児科医や専門医学団体がこの変更に対して強い懸念を示している。 小児科学会(AAP)はこれを「危険で不必要」と批判し、定期接種スケジュールの変更が乳幼児健診の頻度や医療機関の受診率に影響を与える可能性を指摘した。また、感染症学会(IDSA)も声明で「家族や地域社会を危険にさらす」とし、特に現在進行中のワクチンで防げる病気の流行下にあってタイミングの悪い変更だと強調した。

第五に、CDCとHHSはこの新ガイドラインは推奨であって義務ではないと明言している。保護者はこれまでどおり、かかりつけ医との相談を通じて、希望するワクチンを引き続き受けることが可能であり、保険適用範囲も変更されないとしている。医療専門家は、保護者に対し質問や懸念があれば医師に相談するよう勧めている。

今回の予防接種スケジュール見直しは、米国における公衆衛生政策の方向性や医療現場、家庭のワクチン接種への判断に大きな影響を与えることが予想され、今後の解釈と対応が注目される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします