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29歳男性、ハイイログマに襲われ重傷 米イエローストーン国立公園

ハイイログマは「グリズリー」とも呼ばれる大型のクマであり、北米を代表する野生動物の一つである。
米国、ハイイログマ(Getty Images)

アイダホ州のイエローストーン国立公園で29歳の男性がハイイログマに襲われ重傷を負った。当局が17日、明らかにした。

それによると、事件は園内のハイキングコースで発生。男性はハイイログマに向けて熊スプレーを噴射し、何とか追い払ったという。

国立公園局(NPS)は声明で、男性は胸部と左腕に重傷を負ったものの、命に別条はなく、現在入院中であると明らかにした。

ハイカーは当初、救急隊員に「アメリカグマに襲われた」と説明していたが、公園当局が現場の位置、クマの大きさ、行動から、ハイイログマであると断定した。

レンジャーが男性を襲ったクマを追跡している。

ハイイログマは「グリズリー」とも呼ばれる大型のクマであり、北米を代表する野生動物の一つである。体長は2メートルを超えることもあり、体重はオスで400キログラム前後に達する。背中の盛り上がった筋肉と灰褐色の毛並みが特徴で、主にアラスカやロッキー山脈周辺に分布している。雑食性であり、ベリー類や木の実、根、魚や小型哺乳類などを幅広く食べ、時にはシカやヘラジカを狩ることもある。

かつては米国本土で広範に生息していたが、開拓の進展や狩猟、森林伐採によって生息域は大きく縮小した。現在、米国本土のグリズリーは絶滅危惧種に指定され、モンタナ州やワイオミング州、アイダホ州の一部に小規模な個体群が残っているに過ぎない。特にイエローストーン国立公園周辺の個体群は保護活動の象徴とされている。

ハイイログマは生態系の頂点捕食者として重要な役割を果たし、保護は生物多様性維持の観点からも重視されている。一方で人間との接触による被害も報告されるため、共存に向けた管理策が課題となっている。米国では狩猟規制や生息域保全が進められており、今後の個体数回復が注目されている。

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