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ゼレンスキー氏「ロシア産原油の制裁緩和は誤り」米国を批判


米財務省は12日、ロシア産原油に対する制裁の一部について、30日間の免除を発表した。
2026年3月13日/フランス、パリ大統領府、マクロン大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は13日、米国がロシア産原油に対する制裁を一時的に緩和する決定を下したことについて、「正しい判断ではない」と批判した。ウクライナは米国が30日間の制裁免除措置を導入したことで、ロシアの戦争資金が増える可能性があると警告し、ロシアによる侵攻終結にはつながらないとの見方を示している。

ゼレンスキー氏はフランス・パリでマクロン(Emmanuel Macron)大統領と会談、共同記者会見を行い、米国の措置によってロシアは約100億ドルの追加収入を得る可能性があると指摘した。また、「エネルギー販売で得た資金は武器に使われ、最終的にはウクライナに向けられる」と述べ、制裁の緩和はロシアの軍事力強化につながると懸念を示した。さらに「制裁を緩めれば、将来さらに多くのドローン攻撃を受けることになる」と語り、強い不満を表明した。

米財務省は12日、ロシア産原油に対する制裁の一部について、30日間の免除を発表した。すでにタンカーに積み込まれ海上で滞留している原油を取引できるようにするもので、イランをめぐる軍事的緊張の影響で供給が不安定になった世界の石油市場を安定させる狙いがある。ホルムズ海峡周辺の情勢悪化によって原油価格が上昇し、エネルギー不足への懸念が広がっている。

しかしこの措置は、ロシアへの圧力を弱める可能性があるとして、ウクライナや欧州諸国から反発を招いている。ドイツのメルツ(Friedrich Merz)首相は「ロシアに誤ったメッセージを送る」と批判し、G7の多くが同様の懸念を示していると明らかにした。欧州各国はロシアの戦争資金源となっているエネルギー収入を抑えるため、制裁を維持すべきだと主張している。

一方、マクロン氏は、今回の措置はあくまで限定的・一時的なものであり、西側が科している対ロ制裁全体が撤廃されるわけではないと説明した。フランス政府は引き続きウクライナ支援を継続し、ロシアへの圧力を維持する方針を示している。

ゼレンスキー氏は中東情勢の緊張が高まる中で国際社会の関心がウクライナから離れることへの懸念も示した。ロシアの侵攻は5年目に突入し、軍事支援や防空システムの不足がウクライナの大きな課題となっている。

今回の制裁緩和は世界のエネルギー市場の安定とロシアへの圧力維持という2つの課題の間で各国が難しい判断を迫られていることを浮き彫りにした。ウクライナ側は制裁を緩める動きを警戒しており、今後も西側の結束が維持されるかどうかが、戦争の行方に影響を与える可能性がある。

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