◎6基の原子炉はすべて運転を停止しているが、核燃料および使用済み核燃料を冷やすプールを稼働させるためには電力が必要である。
ウクライナ南部のザポリージャ原発とロシア兵(ロイター通信)

IAEA(国際原子力機関)は17日、ウクライナ南部のザポリージャ原発と外部の送電線がつながり、電力供給が再開されたと報告した。

この地域の戦闘で同原発につながる送電線の多くが損傷したと報告されている。

6基の原子炉はすべて運転を停止しているが、核燃料および使用済み核燃料を冷やすプールを稼働させるためには電力が必要である。

IAEAは17日の声明で、「原発の状況は改善されたものの、依然として不安定である」と述べ、同原発と周辺地域一帯を非武装化するよう改めて求めた。

同原発を含むザポリージャ州の一部はロシア軍の支配下に置かれている。

IAEAの専門家チームは今月初め、同原発を視察した。

グロッシ(Rafael Grossi)事務局長は原発の安全性が完全に損なわれ、いつ大事故が発生してもおかしくないと警告し、ロシアとウクライナにこの地域を非武装化するよう要請している。

専門家によると、原発本体はミサイル・砲撃・航空機の衝突など、強力な衝撃に耐えられるよう設計されているが、そこに電力を供給する送電線や変電設備は原発に比べるとはるかにもろく、外部電力を失えばメルトダウンの可能性が一気に高まるという。

原発は非常用の発電機を常備しているが、それを稼働させるディーゼル燃料には限りがある。IAEAは査察後、チームの専門家を常駐させている。

IAEAは17日、砲撃で損傷した送電系統のひとつが復旧し、外部から電力を供給できるようになったと報告した。

一方、ウクライナがロシア軍から奪還した東部ハルキウ州イジュームでは集団墓地が発見され、戦争犯罪の証拠を集める現場検証が進められている。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は16日のビデオ演説で、これまでに450人の遺体を確認し、その数はさらに増えると報告した。

警察は収容した遺体の99%に暴行の跡がみられたと報告している。犠牲者の大半が一般市民とみられる。

ゼレンスキー氏はロシアをテロ支援国家に指定するよう国際社会に改めて呼びかけ、イジュームの惨状を「戦争犯罪」と糾弾した。

EUの輪番議長国であるチェコもイジュームで集団墓地が発見されたことに怒りを表明し、侵略者を告発する特別な国際法廷を創設するよう要請した。

ロシアの支援を受けるウクライナ東部の分離主義国家でも戦闘が激化したと報告されている。

ドネツク人民共和国当局は17日、ウクライナ軍の砲撃で少なくとも4人が死亡したと報告。一方、ウクライナの管理下に置かれているドネツク州政府はロシア軍が南部ミコライウ州の火力発電所を砲撃し、同州の飲料水の供給に支障が出ていると非難した。

英国防省によると、ウクライナ軍はロシアから領土を奪還した後、北東部のロシア国境近くで反攻を続け、ロシア軍はウクライナ国境に近いベルゴロド州の主要補給ルートを守る防衛線を確立したという。

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は16日、上海協力機構(SCO)首脳会議の記者会見で、ウクライナにおける特別軍事作戦に変更はないと強調した。

2022年9月16日/ウクライナ、東部ハルキウ州イジュームの集団墓地(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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