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英イングランドで「髄膜炎」流行、大学生ら2人死亡、保健当局が対応急ぐ


この感染は「B群髄膜炎菌(MenB)」によるもので、髄膜炎および敗血症を引き起こす細菌性の感染症だ。
2026年3月16日/英イングランド、ケント州カンタベリー(AP通信)

イングランドのケント州カンタベリー周辺で3月中旬から「髄膜炎」の感染が急速に広がり、最初に確認された感染者以降、約20人の感染が報告されるとともに、大学生と地元の学校生徒の少なくとも2人が死亡した。感染の中心となっているのはケント大学の学生コミュニティであり、公衆衛生当局が対策を強化している。

この感染は「B群髄膜炎菌(MenB)」によるもので、髄膜炎および敗血症を引き起こす細菌性の感染症だ。治療が遅れると生命を脅かし、手足の切断などの後遺症を伴うこともある。感染は密接な接触によって広がるため、キャンパス内の学生寮やクラブ等での集団行動がリスクとなっている。

当局は最初の確認例が報告された3月13日以降、感染者数が急増しているとして注意を呼び掛けている。18日時点までに報告された感染例は約20件で、その多くが大学生やその周辺に住む若者である。死者のうちの1人はケント大学の学生、もう1人は近隣の学校に通う生徒だった。症状としては発熱、激しい頭痛、発疹、嘔吐、混乱といった典型的な髄膜炎の兆候がみられ、これらの症状が出た場合には直ちに医療機関で診断と治療を受けるよう当局は強く促している。

この感染拡大は3月初旬にカンタベリーのナイトクラブで開かれたイベントが発端とみられており、出席者の多くが感染経路と関連している可能性がある。これがいわゆる「スーパースプレッダー(感染拡大の中心)」イベントとして機能したとされ、同クラブは当局の調査対象となっている。

イギリスでは髄膜炎菌感染症に対するワクチンが国民保健サービス(NHS)の定期接種プログラムに組み込まれているが、MenBワクチンは2015年以降に導入されたため、それ以前に生まれた若者や学生の多くは接種歴がなく、免疫が十分でないケースが多いという。このため当局は、特に大学生やイベント出席者などリスクの高い集団に対して抗生物質とワクチンの接種を進めている。これまでに約2500回分の予防接種が実施され、対象はケント大学の学生や3月初旬のイベントに参加した人々に重点を置いている。

地元メディアによると、ワクチン供給が一時的に逼迫し、薬局やクリニックでの在庫が不足するなどの報告もある。公衆衛生の専門家や市民からは、NHSによる大学生等へのワクチン接種プログラムを全国的に拡大すべきとの声も上がっている。感染リスクの高い若年層が十分な予防接種を受けられていないことが、今回の感染拡大を深刻化させたとの指摘がある。

ケント州保健当局と保健省は今回の発生を注意深く監視しながら、遺伝子配列解析を進めて感染株の特性を評価している。また、感染の全国的な広がりの可能性についても注視しているが、現時点では全国的な緊急事態とは認定していないとしている。関係当局は引き続き、学生やその家族、一般市民に対して早期治療の重要性を強調し、感染拡大の防止に努めている。

一方で、学生コミュニティ内では不安や行動変容が見られ、マスク着用やソーシャルディスタンスの徹底、症状が出た場合の速やかな医療機関受診などが広まっている。大学当局も必要な情報提供や支援を進めるとともに、学内外での感染拡大を抑えるための対策を講じている。

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