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不妊に悩む友人に言ってはいけないこと、相手を尊重する姿勢


不妊は依然として語りにくいテーマであるが、身近な問題でもある。
不妊治療のイメージ(Getty Images)

不妊に悩む人への何気ない言葉が、深い心の傷となる可能性がある。

不妊は決して珍しい問題ではない。多くの国で一定割合のカップルが妊娠できないことに悩み、体外受精(IVF)などの治療を選択するケースも増えている。しかし、その過程は身体的・精神的・経済的に大きな負担を伴い、当事者は強いストレスや孤独感にさらされやすい。

専門家によると、善意から発せられた言葉であっても、不妊に悩む人々にとっては無理解や圧力として受け取られることがある。代表的なのが「リラックスすれば妊娠できる」「そのうちできる」といった発言である。これらは一見励ましのようでありながら、不妊の原因を本人の心構えや努力不足に帰する印象を与えかねない。また「養子を取ればよい」といった提案も、すでに当事者が様々な選択肢を検討している可能性を無視したものとなり、軽率に響くことが多い。

さらに「どちらに問題があるのか」といった詮索や、「子どもは大変だからいなくてもいい」といった発言も不適切だ。こうした言葉は極めて個人的かつ繊細な問題に踏み込むものであり、当事者の尊厳を傷つける恐れがある。加えて、奇跡的に妊娠した知人の話を持ち出すことも、希望を与えるどころかプレッシャーや焦りを強める要因になり得る。

一方で、周囲が何も言わないことも問題となる場合がある。気を遣って話題を避けることで、かえって当事者に孤立感を与える可能性があるためだ。重要なのは、問題を解決しようとする姿勢ではなく、相手の感情に寄り添う態度であると専門家は指摘する。

具体的には「大変な状況だと思う」「何かあればいつでも話を聞く」といった共感を示す言葉が有効とされる。また、通院の付き添いや日常的な手助けなど、実務的な支援も大きな支えとなる。さらに、相手が話したいときに話せる環境を整えつつ、無理に踏み込まない距離感を保つことが重要である。

不妊治療は長期化することが多く、結果が保証されない不確実性が当事者の精神的負担をさらに大きくする。そのため、過度に楽観的な言葉や安易なアドバイスはかえって当事者を追い詰める可能性がある。実際、不妊は抑うつや不安を引き起こす要因ともなり得ることが指摘されている。

こうした背景から、求められるのは「正しい言葉」を探すこと以上に、相手を尊重し、耳を傾ける姿勢である。完全に理解することは難しくとも、「そばにいる」という意思を示すことが信頼関係の維持につながる。

不妊は依然として語りにくいテーマであるが、身近な問題でもある。だからこそ、日常の何気ない言葉や態度が当事者の心に大きな影響を与える。社会全体として、より繊細で思いやりのあるコミュニケーションが求められている。

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