イギリス規制庁、減量注射の使用者に警告「まれだが深刻な副作用」
これらの薬剤は主にGLP-1受容体作動薬を基盤としており、糖尿病や肥満の管理に広く処方されているが、膵臓に急性の炎症が起きる「急性膵炎」を引き起こす可能性があるという。
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イギリスの医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は29日、体重減少治療などに使われる「スルリム注射」と呼ばれる薬剤を使用している人々に対して、まれではあるが重篤な膵臓炎を発症するリスクがあるとして警告を発出した。これらの薬剤は主にGLP-1受容体作動薬を基盤としており、糖尿病や肥満の管理に広く処方されているが、膵臓に急性の炎症が起きる「急性膵炎」を引き起こす可能性があるという。
MHRAは今回の警告に合わせて、医療従事者向けおよび患者向けの製品情報を更新した。急性膵炎は膵臓が突然炎症を起こす疾患で、腹部の激しい痛みや吐き気、嘔吐などの症状を伴い、重症化すると入院や治療が必要になることがある。MHRAは医者や患者に対し、こうした症状が現れた場合にはただちに医療機関に相談するよう呼びかけている。
対象となる薬剤はセマグルチドを有効成分とする「ウェゴビー(Wegovy)」や「オゼンピック(Ozempic)」、チルゼパチドを含む「マンジャロ(Mounjaro)」およびその他GLP-1系統の製品である。いずれも本来は2型糖尿病の治療薬として承認された後、その強力な体重減少効果が評価され、肥満治療用途でも急速に処方数が増えている。イギリスでは過去1年間にこれらの薬剤を使用した成人が約160万人にのぼるとの調査結果があり、さらに多くの人々が使用を検討しているという。
MHRAは「これらの薬剤は大多数の患者にとって安全かつ効果的であり、重大な健康上の利益をもたらす」としつつも、「重篤な副作用が起こる可能性は非常に小さいが、患者と医療専門家が関連する症状に注意を払うことが重要だ」と強調した。
急性膵炎のリスクはこれまでの臨床情報でも「まれな」副作用として知られていたが、使用者からの副作用報告が増加していることから、MHRAは今回の情報更新を決定した。報告されたケースには病状が深刻化した例もあり、同庁は情報の監視体制を強化する方針を示している。
製薬企業側もそれぞれ声明を発表して安全性への注意を促している。GLP-1薬を製造するノボノルディスク社は患者の安全が最重要であり、承認された適応症と医療監督のもとで使用することを推奨すると述べた。また、イーライリリー社も副作用に関する情報を重視し、膵炎のリスクについては「不整脈のようなまれなケース」として注意を促すとした。
医療界ではこれら薬剤の利点とリスクの均衡について引き続き議論が続いている。多くの医師は肥満や2型糖尿病患者にとってGLP-1薬が重篤な合併症リスクを低減し得ると評価する一方、予期しない副作用に対する警戒を強める必要性を指摘している。MHRAは膵炎の可能性を示す症状を見逃さないよう、患者自身と医療提供者の双方に情報共有を進める方針だ。
今回の警告は安全性向上を目指したものであり、患者には服用中や処方前に医師と十分な相談を行うことが勧められている。
