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デンマーク製薬大手ノボノルディスクの株価急落、肥満治療薬の競争激化

ノボノルディスクは「ウェゴビー」や同じ成分を用いた糖尿病治療薬「オゼンピック」などで急成長を遂げ、世界最大級の時価総額を持つ製薬企業となったが、今期は厳しい価格競争に直面している。
スルリム注射のイメージ(Getty Images)

デンマークの製薬大手ノボノルディスクは4日、主力の肥満治療薬「Wegovy(ウェゴビー)」の価格引き下げが同社業績にとって「痛手」になるとの見方を示し、株価が急落した。投資家への警告を受けて同社の株価は一時16〜18%下落し、市場価値から500億ドル超が吹き飛んだ。これまで数年にわたって続いてきた2桁成長の時代は終わり、2026年の売上高と利益がそれぞれ最大で13%減少する可能性があるとの見通しを同社が示したことが背景にある。

ノボノルディスクはウェゴビーや同じ成分を用いた糖尿病治療薬「Ozempic(オゼンピック)」などで急成長を遂げ、世界最大級の時価総額を持つ製薬企業となったが、今期は厳しい価格競争に直面している。米国ではトランプ政権下の医薬品価格引き下げ政策や、保険会社側のリベート要求の増加が重荷となり、薬価の低下圧力が前例のない水準に達していると経営陣は説明している。また、ライバル企業イーライリリーなどが競争力のある代替薬を展開し、さらに正規品ではない調合薬(コンパウンド薬)の存在も市場を圧迫している。

ノボノルディスクのCEOは価格引き下げの影響を「痛みを伴うもの」と述べつつも、これを「将来への投資」と位置付け、より多くの患者が薬にアクセスできるようになるとの見方を示した。特に、ウェゴビーの経口錠剤版が米国で好調な処方数を記録している点は収益の下支え要因として期待されているが、この価格戦略が即座に利益に結び付くかについては懐疑的な見方もある。

ノボノルディスクは2026年の調整後売上高と営業利益がそれぞれ5〜13%減少すると予想、これは市場予想を大きく下回る水準だ。また同社は特許保護の切れ始めるセマグルチド(ウェゴビーとオゼンピックの有効成分)に対するジェネリック薬や模倣薬の台頭にも直面しており、これが価格競争を一段と激化させている。

株式市場では今回の下方見通しが投資家の失望を招き、同社株の急落を引き起こした。ノボノルディスクの株価はこの1年で半減し、今後の業績回復には新製品の開発や市場戦略の転換が不可欠との指摘が出ている。また、競合イーライリリーは好調な業績見通しを示し、肥満・糖尿病治療薬市場での競争激化がさらに進む可能性がある。

このような動きはGLP-1系肥満治療薬市場全体に構造的な変化が進行していることを示しており、医薬品価格政策や特許期間の影響、競争環境の変化が業界収益に与える影響が鮮明になっている。

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