▽セルビアでは昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
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セルビアの首都ベオグラードで週末に予定されている抗議デモに先立ち、数万人が中心部の国会周辺に集まっている。
ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は14日の記者会見で、警察に自制を求めつつも、問題を起こした者は拘束されると警告した。
またブチッチ氏は野党が外国勢力と結託してデモを煽っていると主張した。「平和を脅かすものは逮捕します...」
ベオグラードの国会とその周辺では数日前から数千人の学生がテントを設置し、24時間体制で抗議デモに備えている。国会前の広場はキャンプ場に様変わりした。
セルビアでは昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。
この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
AP通信によると、数百人の農家がトラクターでベオグラードに入ると、待ち受けていた学生たちが大歓声を送って歓迎したという。
地元住民も各地に休憩所を設置し、食べ物や飲み物を振る舞っている。
さらに、数百人のバイカーがベオグラードに入り、国会議事堂近くの通りを封鎖。エンジンをふかして学生たちを応援した。
キャンプ場の学生たちは地元住民と協力して市中心部の道路にレッドカーペットを敷き、農家とバイカーを歓迎した。
北部の都市ズレニャニン出身の大学生はロイター通信の取材に対し、「解放者たちが続々と到着している」と語った。
15日の集会は過去数十年で最大規模になると予想されている。ブチッチ氏は警察当局の話しとして、「6万~8万人が国会周辺に集まると予想している」と述べた。主催者は参加者20万~25万人と見積もっている。
ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月末、政府との対話に応じるようデモ隊に求め、辞意を表明。ノビサドの市長も同日辞任した。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
ブチッチ氏はデモ隊を「外国勢力」と呼び、公共放送RTSもデモ隊が外国から報酬を得ていると主張。「国家転覆を企てている」と連日放送してきた。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。