◎ワグネルはロシア正規軍に代わってこの地域でウクライナ軍と激戦を繰り広げている。
ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は20日、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムートの全域を支配したと主張した。
プリゴジン氏はテレグラムに声明を投稿し、バフムートとみられる場所で戦闘員と一緒に撮った写真を公開した。
ウクライナ国防省はこの主張を否定したが、「バフムートで激戦が続いており、戦況は極めて厳しい」という見方を示した。
ワグネルはロシア正規軍に代わってこの地域でウクライナ軍と激戦を繰り広げている。
プリゴジン氏は今週、ロシア正規軍がバフムートの北と南の拠点を放棄し、ウクライナ軍に包囲される危険性が高まっていると指摘していた。
西側政府はバフムートの重要性に疑問を呈しているが、ロシアは半年以上前からこの町の占領を試みている。
プリゴジン氏は以前にもワグネルがバフムートの大部分を支配したと主張していた。しかし、その後も戦闘は続き、多くの死傷者が出たとみられる。
プリゴジン氏は20日に公開した動画の中で、「我々はバフムートのいくつかの地域を占領できずにいると主張する連中を黙らせることができた」と述べている。
その背後では爆発音が聞こえ、前線ではないにせよ、何かしらの戦闘が続いていることを示していた。
またプリゴジン氏は今月末にはバフムートをロシア正規軍に引き渡すと表明した。
ロシア国営メディアも同日、国防省の声明を引用し、バフムートの制圧に成功したと報じた。
しかし、ウクライナのマリャル(Ganna Malyar)国防次官はワグネルの発表後に声明を投稿。「バフムートで激しい戦闘が続いている。状況は危機的だ」と述べた。
またマリャル氏は「自軍の防衛部隊はこの地域のいくつかの施設を管理している」と説明し、ロシアの主張を否定した。
一方、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はG7広島サミットに出席するため、20日に訪日した。
バイデン(Joe Biden)米大統領は同盟国によるF16を含む高性能な戦闘機のウクライナへの供与と同国軍操縦士の訓練を支持すると表明し、ゼレンスキー氏を喜ばせた。
さらにG7首脳らはウクライナ支援に向けて対ロシア制裁を強化することなどで一致した。
ウクライナ軍はまもなく占領された地域を奪還する反攻作戦を開始すると予想されているが、ゼレンスキー氏は最近、準備にもう少し時間が必要という見解を示していた。
ウクライナ軍はバフムートをめぐる攻防でロシア軍を疲弊させ、軍備と物資を消耗させようとしている。