◎ウクライナ軍参謀本部はバフムート陥落を認めておらず、一部地域で戦いが続いていると主張している。
ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は25日、完全制圧したとするウクライナ東部ドネツク州バフムートからの撤退を開始したと明らかにした。
プリゴジン氏は今週、6月1日までにバフムートの支配権をロシア正規軍に移譲すると宣言したが、ウクライナ政府はこの地域の一部を堅守し、今も激戦が続いていると反論している。
プリゴジン氏はテレグラムに投稿した声明で、「ロシア正規軍が事態を管理できないと判断した場合、ワグネル部隊を戻す用意がある」と表明した。
米政府は24日、プリゴジン氏がバフムートの戦いでロシア正規軍の兵士2万人以上が死亡したと報告したことについて、米当局の見方と一致していると述べた。そのほとんどが軍事訓練をほとんど受けていない受刑者などとみられる。
プリゴジン氏は動画の中で「我々は今日、バフムートから部隊を撤退させる」と述べた。
ワグネルは20日にバフムートを完全制圧したとしている。プリゴジン氏はこの地域を管理するロシア正規軍を支援するためにワグネルの傭兵を一部残すとした。
プリゴジン氏は横にいる戦闘員に対し、「正規軍をいじめるなよ」と警告している。
プリゴジン氏はロシア軍の高官を公然と批判し、世界中に様々なメッセージを発信してきた。先月にはワグネル部隊に弾薬が供給されないのであればバフムートから撤退するとロシア政府を脅していた。
一方、ウクライナ軍参謀本部はバフムート陥落を認めておらず、一部地域で戦いが続いていると主張している。
ウクライナのマリャル(Ganna Maliar)国防次官は今週、自軍はバフムート南西部の地区を堅守していると述べていた。「敵は郊外のワグネル部隊を正規軍と入れ替えたようです。町の中には、ワグネル部隊がまだ存在しています...」
西側のアナリストはバフムートの戦略的価値に疑問を呈しているが、ロシアは半年以上この町に固執し、数万の兵士と膨大な規模の兵器・弾薬を失った。
ワグネルはロシア正規軍に代わってウクライナ軍と対峙し、有罪判決を受けた数千の受刑者を採用し、戦地に送り込んだとされる。
プリゴジン氏は今月初め、バフムートの戦いで2万人以上のロシア兵が死亡し、さらに8万人が負傷したとの見方を示した。
ウクライナ軍はバフムートでの死傷者数を公表していないが、大きな損害を被っているとみられる。
バフムートの侵攻前の人口は約7万人。現在は数千人が残っているとみられる。