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米国とロシアが「軍事対話」の再開で合意、4年ぶり

再開されるのは「軍対軍対話」と呼ばれるチャネルで、米露両軍の間で直接的な意思疎通を行う枠組みだ。
2026年2月4日/ウクライナ、首都キーウ、ロシア軍の攻撃を受けた火力発電所(AP通信)

米国とロシアは5日、ウクライナ情勢をめぐる協議の中で、4年余り途絶していた高官レベルの軍事間対話を再開することで合意した。この合意はアラブ首長国連邦(UAE)アブダビで開かれた米露ウクライナ3カ国による会談の席で発表され、米欧州軍司令部が声明で明らかにした。

再開されるのは「軍対軍対話」と呼ばれるチャネルで、米露両軍の間で直接的な意思疎通を行う枠組みだ。この枠組みは2021年末に停止されていたが、今後は継続的な軍事当局間の連絡手段として機能させ、誤算や偶発的衝突の回避に役立てる意図が示されている。

会談には、米欧州軍司令官でありNATO欧州連合軍最高司令官でもあるグリンキウィッチ(Alexus G. Grynkewich)空軍対象が出席した。声明によると、米露両国の代表に加えウクライナ側の軍幹部も同席し、戦争終結に向けた協議が続けられたという。チャネル再開について声明は「持続的な軍対軍の接触を提供し、恒久的な平和に向けて作業を継続する上で機能する」と説明した。

軍事間対話の停止は、2021年秋ごろの対立激化に伴い実施されたもので、その後にロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻に踏み切ったことから、米露関係は冷戦後最悪レベルにまで悪化した。今回の再開合意はそうした緊張の一部緩和を示すものであり、米露双方が軍事的意思疎通の重要性を再認識した形だ。

アブダビでの会談は2日目に入り、ウクライナとロシアによる捕虜交換が行われたとの報道もある。これは数か月ぶりの大規模な捕虜交換で、両国間の交渉が実務面でも一定の進展を見せたことを示す動きだとみられている。

ただし、軍事間対話の再開が即座に戦争の終結や停戦につながるものではないとの見方が強い。戦闘は依然としてウクライナ東部や南部で続いており、ロシア軍によるインフラ攻撃やウクライナ側の抵抗も激しい。軍対軍の意思疎通は偶発的衝突のリスクを下げる可能性があるが、根本的な政治・外交的解決にはさらなる協議と妥協が必要だとの指摘がある。

また、この合意はトランプ政権の外交戦略の一環として見られている。トランプ政権はロシアとの関係改善やウクライナ戦争の早期終結を目標に掲げ、一連の中東や欧州での交渉を通じて、緊張緩和の道筋を探っている。ただし、ウクライナ側は領土問題や安全保障の扱いについて慎重な姿勢を崩しておらず、今後の交渉は依然として難航が予想される。

米露軍事対話再開は、戦後の欧州安全保障環境に長期的な影響を与える可能性がある。対話チャネルが安定的に機能すれば、米露双方の軍事当局が直接情報を交換することで、危機管理能力の向上と偶発的衝突回避の強化につながるとの評価も出ている。今後の協議の在り方と具体的成果が国際社会の焦点となっている。

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