▽このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
セルビアの首都ベオグラードで24日、政府与党に抗議する大規模な集会が開かれ、数万人が参加した。
同国では昨年11月から政府与党と北部ノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で昨年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。
この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
野党は広範な汚職とずさんな改修計画が事故を招いたとして、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に辞任を要求している。駅の落成式には多くの政府高官が出席していた。
24日の集会には多くの労働組合も参加。並行してストライキも行われている。
AP通信によると、ベオグラード中心部の広場と複数の通りに数万人が集まり、ブチッチ氏と公共放送RTSに抗議したという。
暴力は確認されておらず、逮捕者が出てという情報もない。
ブチッチ氏は24日夜に中部ヤゴディナで集会を開く予定だ。
ブチッチ氏はデモ隊は「外国勢力」と呼び、公共放送RTSもデモ隊が外国勢力から報酬を得ていると主張。「国家転覆を企てている」と連日放送している。
ブチッチ派も各地で集会を開き、デモ隊を「殺人集団」「CIA(米中央情報局)のスパイ」などと呼び、SNSを駆使して様々な偽情報を発信している。
一部の専門家はこの背後にロシアがいると主張。ブチッチ氏はEU加盟を目指しているにもかかわらず、ウクライナ戦争における西側の対ロシア制裁に参加しておらず、中立を維持している。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。