◎今年ギリシャに不法入国した移民は29日時点で約5万6000人。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は29日、ギリシャ沖で移民が死亡する事故が多発していることに深刻な懸念を表明した。
UNHCRの駐ギリシャ代表は声明で、「移民を乗せた船が転覆・沈没する事故が多発しており、今月だけで少なくとも17人が死亡している」と述べた。
またUNHCRは「この時期の地中海の水温は低く、海岸近くであっても命を落とす可能性が高い」と警告した。
ギリシャは豊かな西欧への亡命を求める移民の中継地であり、トルコ西岸とアフリカ北部リビアやチュニジアに拠点を置く人身売買組織が頻繁に利用している。
その多くがトルコ沿岸からギリシャの島々へボートで横断を試みる。
今年ギリシャに不法入国した移民は29日時点で約5万6000人。その大半がトルコルートを使っていた。これは5年ぶりの高水準であり、政府の予測を大きく上回っている。23年通年は約4万9000人であった
UNHCRは「紛争や迫害、暴力、人権侵害から逃れてきた人々のために、長期的な対応と、より安全で信頼できる代替手段を確立しなければならない」と訴えた。
トルコ沿岸に近いエーゲ海東部のサモス島沖では今週、2件の死亡事故が発生。8人の子供を含む12人の死亡が確認された。