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国連、財政破綻の危機迫る、事務総長が全加盟国に警告

国連は毎年各加盟国が国内総生産(GDP)や債務水準に応じて支払う義務のある「分担金」で運営されている。
2016年3月2日/マリ、国連平和維持ミッションの兵士(Getty Images/AFP通信)

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は1月30日、国連が「差し迫った財政破綻」の危機に直面していると加盟193カ国に宛てた書簡で警告した。未払い分担金の増加や旧来の財政ルールが資金繰りを悪化させており、現行のままでは2026年夏頃に資金が枯渇する可能性があるという。

国連は毎年各加盟国が国内総生産(GDP)や債務水準に応じて支払う義務のある「分担金」で運営されている。しかし、2025年末時点で未払い分担金は過去最大の約15億7000万ドルに達し、全体の回収率は76%にとどまっているという。こうした資金不足は通常の支出に加え、平和維持活動や人道支援など多岐にわたるプログラムの実施能力を脅かしている。

最大の分担国である米国は義務的な支払いだけでなく任意拠出金も大幅に削減しており、2025年分の分担金を一切支払っていないとされる。米国が未払い総額は通常予算だけで約21億9600万ドル、平和維持活動分約18億8000万ドルなどにのぼるとの報告もある。中国は義務分担金を支払っているものの、支払いが遅れる年もあり、ベネズエラも約3800万ドルの未払いがあるとして総会の議決権を失っている。

今回の危機でグテレス氏が特に問題視しているのが、国連の財政ルールにある「未使用分を加盟国に返還する」規定だ。このルールでは、予算として計上した資金を使い切れなかった場合、それを加盟国へ返還しなければならないが、実際には未払いのままの状態で返金義務だけが発生している。このため、「実際には存在しない資金を返すために現金が必要になる」として、事務総長はこれを「官僚的で不条理なサイクル」と警告している。

書簡の中でグテレス氏は、「全加盟国が義務を完全に履行し期限内に支払うか、または財政ルールを根本的に見直さなければ、この危機を回避できない」と強調した。改革案としては、分担金の徴収方法の見直しや財政運営の効率化を進める「国連80(UN80)」と呼ばれるタスクフォースが設置され、既に2026年度予算を前年から約7%削減する措置が取られたが、現状では資金不足を十分に解消できていない。

国連は借入ができない組織であるため、未払い分担金の影響を受けやすい。流動性確保のために支出の抑制や人員削減、採用凍結などの措置を講じているものの、平和維持活動や緊急人道支援など、国際社会が依存する重要業務への影響が懸念されている。グテレス氏は加盟国に対し、支払い義務の履行と財政制度の抜本的改革の必要性を訴え、国連の存続と国際協調の維持に向けた行動を強く求めている。

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