◎クルスク州知事は12日、ウ軍が国境ラインから12キロほど前進し、少なくとも28の地域、20以上の集落を支配下に置いていると報告した。
ウクライナ、東部ドネツク州の前線近く、ウクライナ軍の戦車部隊(Getty Images)

ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃が7日目に突入し、同州のウクライナ国境周辺で激しい戦闘が続いているものとみられる。

クルスク州知事は12日、ウ軍が国境ラインから12キロほど前進し、少なくとも28の地域、20以上の集落を支配下に置いていると報告した。

同知事はテレグラムに声明を投稿。同州の状況は依然として困難であると書き込んだ。

それによると、ウ軍は国境ラインから12キロほど前進。戦線の長さは40キロに及ぶという。

ウクライナ軍のシルスキー(Oleksandr Syrsky)総司令官は12日、クルスク州への越境攻撃を継続し、約1000平方キロメートルの領土を制圧したと発表した。

クルスク州知事によると、前線に近い町や集落の住民など、約18万人に避難命令を出し、12日時点で12万1000人が避難を余儀なくされたという。

同知事はウ軍が8月6日に越境攻撃を開始して以来、州内で民間人少なくとも12人が死亡、121人が負傷したと明らかにした。

プーチン(Vladimir Putin)大統領は12日、閣僚らとのミーティングで「ウクライナ軍はロシア西部への攻撃でロシアを不安定化させようとしているが、成功しない」と主張した。

またプーチン氏は「ロシアはウクライナの攻撃に適切に対応し、ロシアの目標は間違いなく、すべて達成される」と強調した。

ロシア国防省は12日、クルスク州の戦況について、空軍と砲兵隊の支援を受け、この地域に派遣された増援部隊が過去24時間に3つの集落に対するウクライナ軍の攻撃を退けたと報告した。

一方、ロシア国営原子力企業ロスアトムは12日、ウクライナ軍が11日に南部ザポリージャ原発をドローンで攻撃し、火災を引き起こしたと主張した。

ウクライナ政府は同原発を支配するロシアが火災を引き起こしたと主張している。

米ABCニュースは情報筋の話しとして、「ロシア兵はザポリージャ原発敷地内で大量のタイヤに火をつけ、火災を起こした」と伝えている。

それによると、ロシア兵はクルスク州への越境攻撃に焦り、ウクライナに「これ以上やると大変なことになる」と警告を送るために火災を起こしたという。

ロシアの軍事ブロガーたちはウクライナ軍の小隊が国境から130キロほどの位置にあるクルスク原発に向かって前進していると投稿しているが、事実か否かは不明だ。

ロシア政府は同原発の警備を強化している。

ロシア国防省は12日、クルスク州の部隊を増強し、予備軍を編成するため、追加の兵士と兵器を同州に送っていると明らかにした。

一部の専門家はウクライナの狙いについて、
▽ロシアとの和平交渉を有利に進めるため、国境付近のロシア領やパイプライン拠点を支配下に置き、それを返還する見返りにロシアが併合した4州とクリミア半島を取り戻そうとしている。
▽プーチン氏の権威を低下させる。
▽ロシアの不安定化など指摘している。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領は越境攻撃を認めているものの、その狙いは明らかにしていない。

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