◎ロシアとウクライナは東部ドンバスをめぐって激しい戦闘を繰り広げているとされる。
NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は15日、「ロシアのウクライナ侵攻は計画通りに進んでいない」と断言した。
NATO加盟30カ国の外相はベルリンでウクライナへの軍事支援、対ロシア制裁、食料安全保障などについて協議した。
ストルテンベルグ事務総長は、「ウクライナはこの戦争に勝つことができる」と述べ、NATOはウクライナに支援を提供し続けなければならないと強調した。事務総長はコロナに感染したためオンラインで会合に参加した。
ウクライナ軍は東部ハルキウ州の複数の町をロシア軍から奪還したと伝えられている。米シンクタンクの戦争研究所も「ウクライナはハルキウの戦いに勝利した」という分析結果を公表した。
AP通信によると、米国防総省の高官は15日、ロシア軍のキーウ撤退後の動きについて、「カタツムリのように遅くなった」と表現した。
ロシアは外交面でも窮地に立たされている。
フィンランドとスウェーデンは15日、ロシアの警告を拒否し、NATO加盟に向けた手続きを進めると表明した。北欧の2カ国がNATOに加盟すれば、プーチン(Vladimir Putin)大統領は屈辱を味わうことになるだろう。
一方、ウクライナは東部戦線以外でも士気を高めることに成功した。イタリアのトリノで開催されたユーロビジョンでウクライナのバンド「カルーシュ・オーケストラ」が優勝したのである。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領はバンドを称賛し、ロシア軍を追い出すと誓った。カルーシュ・オーケストラの優勝により、来年のユーロビジョンはウクライナで開催されることも決まった。「一歩一歩、占領者をウクライナから追い出すのだ」
バンドは15日の記者会見で、「戦う準備はできている」と語った。ウクライナ政府は18歳~60歳までの男性の出国を禁止しているが、バンドメンバー6人は特別に許可を得て、ウクライナ代表として大会に出場した。
ロシアとウクライナは東部ドンバスをめぐって激しい戦闘を繰り広げているとされる。
ロシアはウクライナ軍の拠点や倉庫をミサイルなどで破壊したと繰り返し主張しているが、西側の軍事・人道支援を受けるウクライナ軍は兵糧不足のロシア軍を押し返しているように見える。
ロシア軍のミサイル攻撃は軍施設だけでなく民間施設や住宅を破壊している。
ドネツク州知事は15日、市内の化学工場と高層ビルが攻撃を受け、少なくとも2人が死亡したと明らかにした。
西部リビウ州の知事もロシア軍がポーランド国境近くの軍事インフラを破壊したと報告している。
東部ハルキウ州の知事は15日、郊外でロシア軍の新たな攻勢を食い止めたと報告した。最前線の戦況はほとんど明らかにされていないが、西側もロシア軍は厳しい戦いを強いられていると分析している。
英国防省は定例報告で、「ロシア軍は2月下旬にウクライナに投入した戦力の3分の1を失った」と報告している。また同省は、「ロシア軍が進軍速度を早めることはないだろう」とツイートした。
ロシア軍は侵攻直後に占領した第2の都市ハルキウから完全撤退したと考えられている。ハルキウ州知事は「ここ数日ロシア軍の砲撃を確認していない」と報告している。
この地域で戦っていたウクライナ軍の大隊は15日にロシア国境に到達し、ゼレンスキー大統領宛ての勝利メッセージをフェイスブックに投稿した。
兵士たちは拳を振り上げ、ハルキウ奪取を祝った。
一部の専門家は、「数日以内に南東部マリウポリ(ドネツク州)の戦闘が激化する」と指摘している。
アゾフスタリ製鉄所を含む港湾都市マリウポリの大部分はロシア軍の支配下に置かれているとされる。同製鉄所内に立てこもるアゾフ連隊は降伏を拒否し、戦い続けると誓っている。
ウクライナ検察庁は、ロシア軍が同製鉄所に対し焼夷弾を使用した疑いがあるとして、戦争犯罪調査を開始すると発表した。国際法は焼夷弾の一定使用を認めているが、敵兵や民間人を直接狙うことは禁じている。
ロシアはフィンランドとスウェーデンがNATO加盟に向け本格的に動き出したことで、難しい対応を迫られることになりそうだ。
15日にスウェーデンを訪問した米共和党のマコーネル(Mitch McConnell)上院少数党首は記者団に、「フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は重要であり、米国は速やかに加盟を批准すべき」と語った。
マコーネル氏は共和党上院議員の代表団を率いてこの地域を訪問している。代表団は12日にキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。