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ドイツ当局、ノルドストリームパイプライン爆発事件でウクライナ国籍の男逮捕

連邦裁判所はクズネツォフ容疑者がこの事件に関与したとして、28日に逮捕状を発行した。
ドイツ、首都ベルリンの警察官(Getty Images)

ドイツ当局は28日、2022年9月に3つのノルドストリームガスパイプラインに対する「攻撃」に関与した疑いでウクライナ国籍の男(49歳)を逮捕したと明らかにした。

連邦裁判所はクズネツォフ(Serhii Kuznietsov)容疑者がこの事件に関与したとして、28日に逮捕状を発行した。

この事件は2022年9月26日に発生。ロシアとドイツを結ぶ北海経由のガスパイプラインが海底で爆破され、深刻な被害を受けた。

ノルドストリーム1および2の両パイプラインが破損し、ウクライナ戦争に伴い、欧州諸国がロシア産エネルギーからの脱却を急いでいた矢先の出来事だった。

ドイツ当局は容疑者がその破壊作戦の「調整役」の一人であったと主張している。捜査によると、容疑者らは偽造身分証明書を用いてドイツ北部からヨットをチャーターし、バルト海を航行。そこから海中に潜水して、少なくとも4基の爆弾(1つあたりおよそ14~27キログラム)をパイプライン近くの海底70〜80メートルに設置したとされる。

一方、容疑者は関与を否定し、爆破当時はウクライナ国内で軍に所属し、事件とは無関係と主張している。

容疑者は8月、イタリアのアドリア海沿岸のキャンプ場で家族と休暇中に拘束された。ドイツ側が発付した欧州逮捕状に基づくもので、その後、同月にイタリアでの拘禁が始まった。

しかしその後、イタリアの上級審が当初の送還決定を覆すなど、身柄引き渡しをめぐる法的手続きが続いていた。だが最近、イタリア最高裁が改めてドイツへの送還を認め、11月19日に引き渡しが確定。容疑者はドイツに移送、拘置された。

なお、同じ事件で拘束された別のウクライナ人(ポーランド国内で拘束)については先月、ポーランド裁判所がドイツへの身柄引き渡しを認めず、釈放を命じた。

裁判所はパイプライン攻撃について、「正当な戦争における軍事行動」とみなすべきだと判断した。ただし、この主張はイタリアの裁判所やドイツ側では認められていない。

今回の拘束により、パイプライン爆破事件の真相解明に向けた捜査は大きな分岐点を迎えた。容疑者が主導したとされる“破壊工作”の実行者を裁く法廷は、今後の国際情勢、エネルギー安全保障、法的責任のあり方にも影を落とすものとなる。

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