◎アレストビッチ氏は自身のユーチューブチャンネルで侵攻に関連する問題について毎日議論し、ウクライナ政府の顔になった高官のひとりであった。
ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ(Oleksiy Arestovych)氏は17日、自身の発言を撤回・謝罪したうえで、辞意を表明した。
アレストビッチ氏はユーチューブやSNSでウクライナの状況を毎日世界に発信している。
同氏は14日、東部ドニプロの集合住宅にロシア軍のミサイルが着弾し、多数の民間人が死傷したことについて、「ウクライナ軍の防空システムで撃ち落とされたロシア軍のミサイルが落下したとみられる」と述べた。
この攻撃ではこれまでに民間人44人の死亡が確認され、数十人の行方が分かっていない。
アレストビッチ氏はこの発言を謝罪し、「基本的な誤りを犯した」と述べた。
この発言は怒りを引き起こし、ロシア大統領府にも利用された。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はアレストビッチ氏の辞意表明に関するコメントを出していない。
アレストビッチ氏はドニプロの攻撃から数時間後、「ロシアのミサイルがウクライナの防空システムによって撃ち落とされ、落下したようだ」と述べていた。
ウクライナ軍参謀本部によると、集合住宅に着弾したのはロシア軍の対艦ミサイル「Kh-22」で、ウクライナ軍の手元にある防空システムで撃墜することは極めて難しいという。
ウクライナ人はアレストビッチ氏の発言に怒り、「ロシアのプロパガンダを後押しする」と非難した人もいた。
一部の国会議員はアレストビッチ氏の解任を求める嘆願書を提出している。
アレストビッチ氏はテレグラムに声明を投稿。辞表を提出したと明らかにし、謝罪した。「ドニプロの犠牲者とその遺族、ドニプロの市民、そして私の早とちりによって深く傷ついたすべての人々に心から謝罪します...」
アレストビッチ氏は自身のユーチューブチャンネルで侵攻に関連する問題について毎日議論し、ウクライナ政府の顔になった高官のひとりであった。
チャンネル登録者は160万人に達し、動画の再生回数はしばしば20万回を超える。アレストビッチ氏はロシアの視聴者を意識してロシア語で話している。
ロシア大統領府はアレストビッチ氏の発言を利用し、ロシア軍は民間施設を攻撃していないと主張した。
ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は「ロシアは住宅を攻撃しておらず、ウクライナ側の代表もウクライナ軍の防空システムが原因であると示唆している」と述べた。
ドニプロの犠牲者は44人に達し、さらに増える可能性が高い。
首都キーウ、南部オデーサ、東部ハルキウ州当局も14日の大規模ミサイル攻撃でエネルギーインフラなどが被害を受けたと報告している。