◎ザポリージャ州はドネツク州の西に位置する工業都市で、アゾフ海に面している。
2022年6月6日/ウクライナ、東部ドネツク州、ウクライナ軍の戦車(Bernat Armangue/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は6日、ロシア軍は南東部の大都市ザポリージャ州の完全制圧を目指しているという見方を示した。

ゼレンスキー氏は記者会見の中で、ロシアとの停戦交渉は微塵も進んでおらず、ザポリージャを含む南東部地域で戦闘が激化し、一部地域をロシア軍に占領されたと明らかにした。

同州にある欧州最大規模の原子力発電所はロシアの支配下に置かれているが、州の大半は今のところウクライナの管理下に置かれている。

ゼレンスキー氏は「ザポリージャに敵が迫っている」と説明したが、それ以上は明らかにしなかった。

ロシア軍は南部ヘルソン州全域とドネツク州マリウポリを占領している。

ザポリージャ州はドネツク州の西に位置する工業都市で、アゾフ海に面している。州全体の人口は約160万人、州都ザポリージャは約72万人。

ゼレンスキー氏は東部ドンバスの複数の地域で戦闘が続いていると説明した。ルハンシク州セベロドネツクとリシチャンスクでは一進一退の攻防が続いているとみられる。

ゼレンスキー氏はセベロドネツクの戦況について、「ロシア軍は数と力で上回っているが、我々にもチャンスはある」と語った。

北東部ハルキウ州でも戦闘が続いている。ロシアは同州の主要都市から撤退後もこの地域に対する攻撃を続けている。ゼレンスキー氏は、「ウクライナ軍はハルキウの敵兵を一歩ずつ押し返している」と説明した。

一方、西側諸国は南部オデーサを含む港に滞留している2000万トン以上の穀物の運命に懸念を表明している。

ウクライナはロシアが提案した黒海の港から穀物を安全に輸出する人道回廊の設置におおむね合意しているが、ロシア軍が貨物船ではなく軍艦を港に配備し攻撃を仕掛ける可能性があると懸念を表明している。

ゼレンスキー氏によると、ウクライナの代表団はトルコやイギリスなどと穀物の輸出に必要な人道回廊と南部地域の安全保障について協議しているという。

ゼレンスキー氏は人道回廊と南部地域の安全を保証することが重要と強調した。また、港に滞留している穀物2200~2500万トンを輸出できなければ、その量はこの秋までに7000~7500万トンに達する可能性があると警告した。

ゼレンスキー氏は「港の安全を確保しなければどうしようもない」と国際社会に訴えた。

穀物の輸出問題はラブロフ(Sergei Lavrov)露外相のトルコ訪問の主要議題になる予定。ラブロフ氏は8日にトルコを訪問する。

ゼレンスキー氏によると、トルコはウクライナの代表団を会談に招待しなかったという。

またゼレンスキー氏は、ポーランドやバルト三国と穀物の陸上輸送について協議しているが、鉄道の輸送能力は限られているため、世界の食料危機を緩和するためには海上輸送が欠かせないとした。

またロシア政府が提案したベラルーシ経由でバルト海の港に穀物を運び輸出するという提案は選択肢に含まれていないとした。

2022年6月6日/ウクライナ、東部ドネツク州の前線、ウクライナ兵(Bernat Armangue/AP通信)
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