◎南ア、セネガル、エジプト、コンゴ共和国、コモロ、ザンビア、ウガンダの代表で構成されるアフリカ代表団はウクライナ戦争に対する異なる見解を持つ首脳で構成されている。
南アフリカのラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は17日、訪問先のロシアでプーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、ウクライナ戦争の速やかな終結を訴えた。
ラマポーザ氏らアフリカ諸国の代表団は16日にウクライナの首都キーウを訪問。ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領らと会談し、サンクトペテルブルクに移動した。
ゼレンスキー氏は代表団との共同記者会見でロシアとの和平交渉について、「ロシア軍がウクライナ領内から完全撤退して初めて可能になる」と強調した。
プーチン氏は17日、アフリカの首脳たちに「ウクライナは常に会談を拒否してきた」と語った。
一方、ラマポーザ氏は同盟国であるロシアの侵略を否定も肯定もせず、両国に捕虜を返還するよう求め、さらにロシアに避難させられたウクライナの子供を速やかに帰国させるべきと提案した。
国際刑事裁判所(ICC)はウクライナの子供の違法連行をめぐる戦争犯罪の疑いでプーチン氏の逮捕状を発行している。
アフリカの代表団が子供たちを返すよう訴えると、プーチン氏はその演説を遮り、「ロシアはウクライナの子供たちを保護している」と主張した。「子供たちは神聖なものです。我々は彼らを紛争地域から移動させ、彼らの命と健康を守ったのです」
国連はロシア軍が戦地からウクライナの子供数百人を連れ去った証拠があるとしている。
ラマポーザ氏はこの戦争がアフリカ経済と食料安全保障に深刻な影響を与えているとプーチン氏に警告し、外交によって解決すべきであると強く提案した。「戦争が永遠に続くことはありません。すべての戦争はどこかの段階で決着をつけ、終わりを迎えなければなりません。私たちはこの戦争を終わらせてほしいという非常に明確なメッセージを伝えるためにここに来ました...」
この戦争でウクライナとロシアの穀物輸出は大幅に制限され、世界中で穀物価格が高騰。それに頼ってきたアフリカ諸国に大打撃を与え、数千万人が食料難に直面している。
しかし、プーチン氏は「食料危機を招いたのは戦争ではない」と主張。ウクライナ南部の黒海穀物輸出合意で最貧国に渡った穀物はその3%に過ぎず、原因は西側諸国にあると非難した。
ロシアは欧米の制裁が自国の農産物輸出を制限していると国連安保理などで繰り返し非難してきた。
ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は17日、この問題に再び言及し、「西側が行動を起こさなければ、穀物合意の打ち切りもあり得る」と示唆した。
プーチン氏は首脳会談の中で、アフリカ諸国の中立政策を称賛した。
南ア、セネガル、エジプト、コンゴ共和国、コモロ、ザンビア、ウガンダの代表で構成されるアフリカ代表団はウクライナ戦争に対する異なる見解を持つ首脳で構成されている。
南アとウガンダはロシア寄り、ザンビアとコモロは西側に近いとみられている。エジプト、セネガル、コンゴはほぼ中立を保っている。
国際刑事裁判所に関するローマ規程に加盟する南アは今年8月にブラジル、インド、中国、そしてロシアの5カ国で構成される経済グループ「BRICS」の首脳会議を主催する予定だ。
プーチン氏がこれに出席するために入国すれば、南アはICCの逮捕状に基づき逮捕し、オランダ・ハーグに移送する義務を負う。