◎国務省はウクライナに滞在している米国市民にも帰国もしくは退去を検討するよう促した。
2021年12月16日/ロシア、ウラル山脈オレンブルク近郊で行われた軍事演習(Russian Defense Ministry Press Service/AP通信)

1月24日、米国務省はウクライナ大使館で働く米国人職員の家族に国外に退去するよう命じた

国務省は24日付けの声明で、「ウクライナの米国大使館職員の扶養家族はウクライナから離れなければならない」と述べた。退去の費用は国費で賄われる。

また国務省はウクライナに滞在している米国市民にも帰国もしくは退去を検討するよう促した。

ロシアはウクライナ東部国境付近に兵士10万人以上を配備し、西側に圧力をかけている。アントニー・ブリンケン米国務長官は21日にセルゲイ・ラブロフ露外相と協議したが、事態打開の糸口は見いだせなかった。

国務省は「ウクライナ大使館は機能を維持している」と述べたうえで、「声明は避難命令ではなく、あくまで退去を促すもの」と強調した。

また国務省は、「扶養家族および米国市民に対する勧告は以前から検討されていたものであり、ウクライナを支援するという米国のコミットメントには影響を与えない」と述べた。

ジョー・バイデン大統領は2億ドル相当の兵器や弾薬をウクライナに提供すると表明したが、「ロシアがウクライナに侵攻しても現地に米軍を派遣することはない」と明言している。

国務省は声明の中で「ロシアがウクライナに対する軍事行動を計画している」という最近の報告を引用した。しかし、ロシア外務省はウクライナに侵攻する可能性があるという米国とNATOの情報を「偽物」と呼び、「西側は偽情報で対立を煽っている」と非難した。

国務省は次のように付け加えた。「ウクライナとロシアの国境付近、ロシアに併合されたクリミア半島、およびロシアの支配下に置かれているウクライナ東部の治安は予測不可能であり、警告を発する間もなく悪化する可能性があります...」

米領事館事務局は国務省の勧告に先立ち、ウクライナの渡航情報をレベル4に引き上げた。同局は声明の中で、ロシアの軍事行動とコロナウイルスの脅威が高まっているため、ウクライナへの渡航をやめるよう市民に促した。

また同局はロシアの渡航情報もレベル4に引き上げ、「テロ、治安当局の嫌がらせ、恣意的な逮捕に直面する可能性がある」と警告した。

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

2014年4月21日/ウクライナ東部ルハンシク、親ロシアの反政府勢力(Alexander Zemlianichenko/AP通信)
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