◎ロシア軍は14日の声明で民間人への攻撃を否定した。
ウクライナ政府は14日、前線から遠く離れた中部の都市ビンニツァにロシア軍のミサイルが着弾し、子供3人を含む少なくとも23人が死亡、100人以上が重軽傷を負ったと発表した。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はビデオ演説でこの攻撃を「テロ」と糾弾し、国際社会にロシアをテロ国家に指定するよう改めて呼びかけた。
軍当局によると、黒海のロシア軍艦から発射された巡航ミサイルはビンニツァの医療機関、住宅、店舗、事務所などを破壊したという。ウクライナ軍は飛来したミサイル4発のうち2発を撃墜したと報告している。
現地で行方不明者の捜索に当たっている警察当局者は、10歳未満の子供3人を含む23人の死亡を確認し、30人以上が行方不明と説明した。入院した66人のうち5人は重体で、34人は重傷。
ビンニツァ在住の女性はウクライナ公共放送の取材に対し、「医療機関が爆破され、窓ガラスが粉々に砕け散った」と語った。
当局によると、集合住宅少なくとも36棟が被害を受け、住民は避難を余儀なくされたという。ミサイルの威力はすさまじく、着弾地点から少し離れた駐車場の車50台が破損した。
ロシア軍は14日の声明で民間人への攻撃を否定した。
軍報道官はロシア国営メディアが報じた声明で、「ビンニツァにあるウクライナ軍関連施設を狙った」と主張した。
ロシア国営の国際テレビネットワークRTはテレグラムの投稿で、「ロシア軍はビンニツァのナチス収容施設を破壊した」と述べている。
ゼレンスキー氏はオランダの国際刑事裁判所(ICC)で行われた欧米45カ国の会合でオンライン演説し、ロシアをテロ国家に指定するよう要請した。45カ国はロシアのウクライナに対する戦争犯罪の調査で協力する政治宣言に署名した。
ゼレンスキー氏はビデオ演説でもビンニツァの空爆に触れ、「ロシア以上のテロ国家は世界に存在しない」と糾弾した。
ウクライナ大統領府によると、死亡した子供3人のうち1人は4歳の少女で、母親も重傷を負ったという。この少女の動画はSNSで広く共有されている。
ゼレンスキー氏の妻はSNSに動画とコメントを投稿。「クリスマスのビデオを撮影していた時にこの少女に出会った」と述べ、少女に哀悼の意を表した。「生前の彼女を見てください...」
ゼレンスキー氏は世界中のロシア資産を没収し、テロの犠牲者への補償に充てるための仕組みを作るよう呼びかけた。
モナスティルスキー(Denys Monastyrsky)内相もビンニツァに対するミサイル攻撃を「戦争犯罪」と非難し、「ロシア軍は前線から遠く離れた住宅地に意図的にミサイルを撃ち込んだ」と糾弾した。
キーウの米国大使館は14日、ウクライナにとどまっている全ての米国民に直ちに退去するよう求める警告を発した。同大使館は声明の中でビンニツァへの攻撃に言及し、「ウクライナ領内はどこでもロシアの軍事目標になり得る」と警告した。