◎ロシア軍は南部ヘルソン市で屈辱的な敗北を喫して以来、エネルギーインフラへの攻撃を続けている。
2022年11月25日/ウクライナ、首都キーウの暖房スポット(Efrem Lukatsky/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は10日、ロシア軍のエネルギーインフラ攻撃により、南部オデーサ州とその周辺地域で大規模停電が発生したと明らかにした。

ゼレンスキー氏はビデオ演説で、「オデーサとその周辺地域の150万人以上が停電の影響を受けている」と説明した。

ウクライナ大統領府もテレグラムに声明を投稿。ロシアがイラン製ドローンを使ってエネルギー施設2カ所を攻撃し、オデーサ州の広い範囲で停電が発生したと述べた。

また大統領府は、復旧には数ヶ月かかる可能性があると警告した。

ウクライナ公共放送によると、市内の医療機関などの重要インフラのみ電気を利用できる状態だという。

ロシア軍は南部ヘルソン市で屈辱的な敗北を喫して以来、エネルギーインフラへの攻撃を続けている。

プーチン(Vladimir Putin)大統領は8日、ウクライナ市民数百万人が氷点下の中で暖房を使えず厳しい避難生活を余儀なくされているにもかかわらず、送電線や発電所などへの攻撃を維持すると約束した。

首都キーウを含む地方当局は避難できる余力のある市民に対し、国外や西部の攻撃を免れている地域などへの退避を検討するよう呼びかけている。

国営送電網運営会社ウクレネルゴなどによると、ロシア軍は10日早朝に主要な送電線と変電設備を攻撃したという。

オデーサ州政府はフェイスブックに投稿した声明で、「この地域の電力インフラの復旧にはかなりの時間がかかる」と述べている。「停電解消には数週間、場合によっては2〜3カ月かかるかもしれません...」

同州の州都であるオデーサ市はウクライナ最大の港湾都市であり、穀物輸送の拠点になっている。侵攻前の人口は100万人を超えていた。

大統領府によると、エネルギーインフラを攻撃したイラン製ドローンの数は数百機に達したという。欧米諸国とウクライナはインフラに対する攻撃を戦争犯罪と糾弾している。

ゼレンスキー氏はビデオ演説の中で、「ドローン攻撃で市内の電力供給が遮断され、電力需要を満たすにはかなりの時間がかかる」という見通しを示した。

ウクライナ軍司令部はフェイスブックに、「ロシア軍は南部オデーサ州とミコライウ州にドローン15機を送ったが、このうち10機の撃墜に成功した」と投稿した。

イラン指導部は侵攻開始前にロシアにドローン数機を供与したと主張している。

英国防省は10日、ロシアとイランが防衛関係を強化していることに触れ、「ロシアは弾道ミサイルの購入を念頭に置き、イランへの軍事・技術支援を今後数カ月で強化する可能性がある」という見方を示した。

2022年12月7日/ウクライナ、東部ドネツク州バフムートの住宅地(LIBKOS/AP通信)
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