◎ロシアは2014年に併合したクリミア半島、ウクライナ東部国境付近、黒海に部隊を展開し、軍事演習を行っている。
2月13日、ウクライナ政府は東部国境付近の緊張の高まりを受け、ロシアおよび他の欧州諸国に会談を要請すると明らかにした。
ドミトロ・クレバ外相は13日の声明で、「ロシアはウクライナの公式要請を無視したため、次のステップとして、ロシアの軍事活動の透明性を確保するために、48時間以内に会合を開くよう要請する」と述べた。
ロシアは2014年に併合したクリミア半島、ウクライナ東部国境付近、黒海に部隊を展開し、軍事演習を行っている。ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナへの侵攻を否定しているが、一部の西側諸国は近日中に何かしらの軍事活動が始まると懸念を表明している。
ホワイトハウスの安全保障問題を担当するサリバン報道官は先週、ロシアはいつウクライナに侵攻してもおかしくないと警告し、五輪期間中の侵攻もあり得ると述べた。
米国を含む10カ国以上がウクライナの自国民に退避を求めており、大使館職員に撤退を命じた国もある。ABCニュースは13日の報道でホワイトハウス高官のコメント引用し、「米国は今後48時間以内にウクライナから大使館の全職員を退避させる準備を進めている」と報じた。
クレバ外相は声明の中で、「ウクライナは11日にロシアを含む欧州安全保障協力機構(OSCE)加盟国が採択した安全保障問題に関する協定(ウィーン文書)に基づき、ロシアに文書による回答を求めた」と述べた。
ウィーン文書は1992年に発効した協定で、OSCE加盟国の軍事活動に制限を設け、軍事活動を行う際の事前報告や査察を義務付けている。
クレバ外相は、「ロシアはOSCE領土内で安全保障の不可分性について語りたいのであれば、軍事活動の透明性を保証しなければならない」と述べた。
一方、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は13日にジョー・バイデン大統領と電話会談を行った。ホワイトハウスによると、バイデン大統領はウクライナに対する支援をあらためて表明し、両首脳は外交と抑止力を追求することで合意したという。
ウクライナ政府は電話会談後の声明でバイデン大統領の「揺るぎない支援」に感謝し、ゼレンスキー大統領はバイデン大統領をウクライナに招待したと明らかにした。
バイデン大統領は12日にプーチン大統領と電話会談を行ったが、打開策を見出すことはできなかった。
西側諸国の外交努力は来週以降も続く予定である。ドイツのオラフ・ショルツ首相は14日にゼレンスキー大統領と、15日にはモスクワでプーチン大統領と会談する予定。
ショルツ首相はロシアが侵攻した場合、NATOの同盟国が警告している通り、厳しい経済制裁が科されると警告している。
イギリスのボリス・ジョンソン首相も「ロシアを戦争の瀬戸際から引き戻す」と述べ、欧州全域で新たな外交協議を行うと発表した。
ロシアのプーチン大統領はウクライナのNATO加盟やNATOの東欧拡大を認めないことを文書で法的に保証するよう西側に要求している。
しかし、米国とNATOは先月末にロシアの提案を却下し、ウクライナのような主権国家はNATOを含む安全保障同盟への加盟を自分で決める権利があると指摘した。
ロシアはウクライナ国境沿いの軍備増強は自国の領土内で行っていることであり、他国にとやかく言われる筋合いはないと主張している。ロシアの外交政策を担当するウシャコフ氏は13日、侵攻の可能性に繰り返し言及する米国の声明を「ヒステリー」と呼んだ。「米国のヒステリーは頂点に達したようです...」