◎演習はアイルランドの南西部から240kmほど離れた排他的経済水域(EEZ)の外で2月3日から8日まで行われる予定。
2022年1月29日/ベラルーシとロシアの国境付近、ロシア軍の軍用車両(Russian Defense Ministry Press/AP通信)

1月29日、ロシアはイギリスの隣国アイルランドの近海に海軍を展開し、軍事演習を行うと発表した。

アイルランドのコベニー外相はツイッターに、「演習は排他的経済水域(EEZ)の外で行われる」と投稿し、市民に落ち着きを求めた。

主要メディアによると、演習はアイルランドの南西部から240kmほど離れたEEZ外で2月3日から8日まで行われる予定だという。アイルランドはEU加盟国だが、NATO(北大西洋条約機構)には加盟していない。

ロシアはウクライナ東部国境付近に10万以上の兵士を展開し、演習を行っている。また、同盟国ベラルーシでも演習を行う予定である。

コベニー外相は先日、「アイルランド政府は近海での演習を歓迎しない」と述べ、ロシア海軍が準備を進めていることに懸念を表明していた。

一方、アイルランドの在ロシア大使であるユリ・フィラトフ氏はフェイスブックに、「演習は公海上で行われ、漁業活動には一切影響与えない」と投稿した。

一部の専門家はロシア軍がウクライナやベラルーシではなく公海上で演習で行うことを「譲歩」と呼び歓迎した。ただし、ウクライナの近くに配備されたロシア軍がアイルランド沖に移動するかどうかは不明である。

アイルランド政府のヌーナン次官は29日の記者会見で、「ロシア軍の演習はこの地域に生息するクジラや他の生物に壊滅的な影響を与える可能性がある」と懸念を表明したが、フィラトフ大使はこの主張を「誇張」と呼んだ。

またフィラトフ大使はロシアに対する西側諸国の警戒と報道を「プロパガンダ」と呼び、「ロシア軍は隣国に一切迷惑をかけていない」と強調した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は最近の西側の発言に関する声明を発表していないが、セルゲイ・ラブロフ外相は28日の会見で戦争の可能性を否定し、「不安をあおっているのは西側であり、安全保障条約が合意に達する可能性は低い」と警告した。

NATOはロシアの侵攻を想定し、バルト海地域の兵力を強化している。

一方、ロシアの国営メディアによると、ロシア軍は南西部地域で歩兵と砲兵部隊、バルト海のカリーニングラードでは空軍、黒海と北極では数十隻の軍艦による軍事演習を開始した。

またロシア軍は同盟国のベラルーシにも部隊を多数派遣し、西側の懸念を引き起こしている。ウクライナの首都キエフとベラルーシの国境は75kmしか離れていない。

ベラルーシの独裁者であるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年、領土内にロシアの核兵器を配備したいと述べ、NATOを強くけん制した。

2022年1月29日/ウクライナ、首都キエフの公園、領土防衛軍の訓練(Efrem Lukatsky/AP通信)
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