◎ジョー・バイデン大統領はテロ国家への投資と貿易を制限する大統領令に署名し、追加制裁を22日に発表する予定である。
2月21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ東部のテロリスト国家の独立を公式に承認した後、同地域の平和を維持するよう軍に命じた。
ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」はロシアのクリミア併合(2014年)に合わせて独立を宣言したが、西側諸国とウクライナは自称国家を分離主義勢力と見なしている。ロシアは両国の独立を事実上認め、ドンバス戦争をサポートした。
プーチン大統領の声明はまもなくウクライナ侵攻が始まるという西側の懸念をあおった。
しかし、プーチン大統領はドネツクとルガンスクの独立を公式に認めたものの、ウクライナ侵攻を決断したかどうかは不明なままである。
西側諸国は21日遅くに国連安全保障理事会の緊急会議を招集し、対応に奔走した。ジョー・バイデン大統領はテロ国家への投資と貿易を制限する大統領令に署名し、追加制裁を22日に発表する予定である。
AP通信によると、ホワイトハウスの高官は21日の大統領令と22日の追加制裁について、「ロシアが侵攻した場合に科す制裁とは別物」と答えたという。
一部の専門家は、「ロシアは同盟国の領土に部隊を配備し、ウクライナ軍に砲撃を受けたと主張するだろう」と警告している。「ロシア軍はウクライナ軍が攻撃を仕掛けなくても、同盟国の住民が危機に瀕していると主張するでしょう。彼らはまもなく侵攻の大義名分を得ます...」
西側諸国はロシアが「偽旗作戦」で攻撃の口実を作ると警戒しており、外交努力を続けている。
プーチン大統領は演説の中で、NATO(北大西洋条約機構)を「ロシアの存亡を脅かす存在」と呼び、自らの決断を正当化した。そして、100年以上歴史を遡り、現在のウクライナをロシアと密接な関係にある近代的な「建造物」として描いた。
プーチン大統領は、「ウクライナはロシアの歴史的な土地を受け継ぎ、ソ連崩壊後はロシアを封じ込める西側諸国に利用されている」と述べ、米国とNATOを批判した。「私は長年の懸案事項であった決断を下す必要があると考えました。ドネツク人民共和国とルハンスク人民共和国の独立と主権を直ちに承認します」
その後、プーチン大統領はドネツク州とルハンシク州の独立を認める大統領令に署名し、連邦議会に同盟国への軍事支援の道を速やかに開くよう呼びかけた。
ウクライナと欧米はロシアが分離主義者を支援していると非難してきたが、ロシアはこの主張を否定し、そこで戦っているロシア人はあくまでボランティアと述べていた。
クレムリンの安全保障会議はプーチン大統領の決定を絶賛し、一部の高官は「ロシア領に含めるべき」と主張したが、プーチン大統領はこの発言を訂正した。
ロシアの国営メディアによると、ドネツクとルガンスクの親ロシア兵は花火を打ち上げ、大きなロシア国旗を振り回し、ロシア国歌を演奏し、あらためて独立を祝ったという。
一方、ウクライナ人はこの動きに強く反発した。
AFP通信の取材に応じたキエフの住民は、「戦争だけは避けてほしい」と懸念を表明した。「ロシアの承認に興味はありません。しかし、ロシアは同盟国を守る、同盟国のロシア人を守ると主張し、ウクライナに攻め込んでくるかもしれません...」
I have signed an Executive Order to deny Russia the chance to profit from its blatant violations of international law. We are continuing to closely consult with Allies and partners, including Ukraine, on next steps. pic.twitter.com/ZS81ivAPgs
— President Biden (@POTUS) February 22, 2022
推定16万~19万人のロシア軍がウクライナの三方に集結していることから、米国はプーチン大統領は侵攻を決断したと警告している。それでもバイデン大統領とプーチン大統領はマクロン大統領の仲介に応じ、米露首脳会談の開催に暫定的に合意した。
ロシアが侵攻すれば首脳会談は恐らく実現しないが、ロシアの天然資源に大きく依存する欧州諸国は対面での米露首脳会談こそ大量の死傷者と大きな経済的損失につながる戦争を防ぐ最善の道と信じている。
プーチン大統領は演説の中で「ウクライナのNATO加盟を一時的に停止するだけでは十分ではない」と述べ、あらためて西側に文書による法的な保証を求めた。
またロシアはNATO加盟国のウクライナへの武器配備の停止と、東欧からの部隊撤収を要求している。西側はこの要求を却下している。
ウクライナ国民はロシアの要求を脅迫、主権への打撃、国益への裏切りなどと呼び、NATOに速やかに却下するよう求めている。
ロシアの国営メディアによると、プーチン大統領や他の政府高官は「ウクライナ当局は協定を受け入れる意欲がない」と述べたという。
ウクライナとドネツク・ルガンスクによるドンバス戦争の死者は民間人を合わせると14,000人を超え、2015年の停戦協定締結以降も国境付近では戦闘が続いている。
ロシア外務省は21日、「ウクライナからの侵攻を食い止めた」と述べたが、ウクライナ当局はドネツクに対する攻撃を否定している。
ロシアは2月20日に終了する予定だったベラルーシ軍との軍事演習も延期している。ベラルーシの独裁者であるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年、ロシアの核兵器を国内に配備したいと述べ、西側を威嚇した。
ロシアはウクライナ軍が停戦協定を無視していると主張しているが、AFP通信などは、「ウクライナ側のエスカレーションは確認できず、ドネツク側の砲撃でウクライナの住宅や道が破壊された兆候が見られる」と報告した。
しかし、ドネツクの一部の住民はウクライナ軍による散発的な砲撃が続いていると証言し、紛争初期の攻撃とは規模が違うと主張した。
ドネツクの自称政府は21日、過去24時間に少なくとも市民4人がウクライナ軍の砲撃で死亡し、数人が負傷したと発表した。一方、ウクライナ軍は週末に兵士2人が死亡し、21日にも兵士1人が負傷したと明らかにしている。
ウクライナ軍の報道官は21日の会見で、「ウクライナ軍は反撃していない」と強調した。
一方、ロシア軍はウクライナからロシアのロストフ地方に侵入した「破壊工作員」5人を殺害し、装甲車2台を押収しウクライナ軍兵士を捕虜にしたと発表しており、もう一つの不安材料になっている。ウクライナ国境警備隊の報道官はこの主張を「偽旗作戦の一部」と述べ、否定した。
侵攻の懸念が高まる中、ニューヨーク・タイムズ紙は「バイデン政権はロシアが侵攻後に殺害または収容所送りにするウクライナ人のリストを作成したという書簡を国連人権委員長に送付した」と報じた。
しかし、ロシアのペスコフ報道官は殺害リストを却下し、「そのようなリストはどこにも存在しない」と述べた。