◎米国はロシアがウクライナに侵攻しないことを条件に首脳会談の開催に原則合意した。
2022年2月20日/ウクライナ、首都キエフで開催された自警団の射撃訓練(Efrem Lukatsky/AP通信)

2月20日、フランス政府はマクロン大統領が米露の首脳とそれぞれ電話会談を行い、首脳会談の開催を提案し合意を得たと発表した。

仏大統領府によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナをめぐる緊張の緩和に向けた外交を優先し、ウクライナ東部の停戦を確保する必要性にも合意したという。

ジョー・バイデン大統領はロシアのウクライナ侵攻を確信していると述べたが、プーチン大統領はこの主張を否定している。

一方、ウクライナは侵攻が差し迫っているという西側の主張を「不適切」と呼び、いたずらに不安をあおらないよう警告した。

西側諸国はプーチン大統領を思いとどまらせるための外交努力を続けている。マクロン大統領の電話会談は最新の努力のひとつだった。

ウクライナ東部を実効支配しているテロリストはウクライナ軍の攻撃が激化したという理由で国民の一斉避難を開始し、総動員令を発動した。

ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」はロシアのクリミア併合(2014年)に合わせて独立を宣言したが、西側諸国とウクライナは自称国家を分離主義勢力と見なしている。ロシアは両国の独立を承認している。

ウクライナ周辺に展開されたロシア軍の中にはドネツクとルガンスクのテロリストも含まれている。

仏大統領府の声明によると、マクロン大統領はバイデン大統領とプーチン大統領に首脳会談を提案し、米国はロシアがウクライナに侵攻しないことを条件に会談の開催に原則合意したという。

首脳会談の詳細は2月24日に予定されているアントニー・ブリンケン国務長官とセルゲイ・ラブロフ外相の会談で話し合われる予定。

一方、ロシア外務省によると、プーチン大統領は電話会談の中でウクライナ東部の緊張をウクライナ軍のせいだと非難したという。ウクライナ政府はドンバス戦争の停戦協定ミンスクⅡに違反しているというロシアの主張を「偽旗作戦」のひとつと非難している。

ウクライナとドネツク・ルガンスクの戦争は2015年のミンスクⅡ締結以降も続いている。

仏大統領府は声明の中で、「両首脳はロシア、ウクライナ、フランス、ドイツによるノルマンディー・フォーマット閣僚会合の再開にも合意した」と述べた。独仏はドンバス戦争の停戦交渉を支援した。

また仏大統領府は、地域の安全と停戦を確保するための会議を数時間以内に開始できるよう、集中的に作業を行うと述べた。

しかし、ロシアはベラルーシで行っていた軍事演習を20日以降も継続すると発表し、西側諸国を強くけん制した。ベラルーシ軍は演習を延長する利用のひとつとして、ウクライナ東部の情勢の悪化を挙げている。

米国はロシアがドネツク、ルハンスク、クリミア、黒海に兵士16万9,000~19万人を展開したと推定している。

ブリンケン国務長官は20日に放送されたCNNニュースのインタビューの中で、「ウクライナ国境付近のロシア軍駐屯地から装甲車や兵士が新たに複数配備され、態勢が強化されたことを示す衛星画像も新たに撮影された」と明らかにした。

ブリンケン国務長官は、「私たちの情報は事態が深刻であることを示唆している」と懸念を表明した。「戦車が侵攻し爆撃機が空爆を開始するまで、私たちはあらゆる機会、あらゆる手段を使って、外交でプーチン大統領を思いとどまらせるために働くつもりです」

CBSニュースは、「米政府は現地のロシア軍司令官が侵攻を開始する命令を受け、現在、攻撃方法について具体的な戦闘計画を立てているとの情報を得た」と報じている。

CBSニュースは報道の中で、「侵攻はサイバー攻撃から始まり、ミサイルや空爆による攻撃が行われ、その後地上部隊が首都キエフに向け侵攻する」と述べた。

CNNニュースは、「ロシアは通常兵力の75%近くをウクライナ国境に集結させている」と報じている。

しかし、ウクライナのレズニコフ国防相は20日、ロシア軍の攻撃部隊はまだ国境付近に展開されておらず、明日か明後日中に侵攻が始まるという主張は間違っていると指摘した。

ウクライナ軍とドネツク軍の交戦状況は悪化している。ウクライナ政府は19日に兵士2名が殺害されたと明らかにし、ドネツクを非難した。

一方、ドネツクの現地メディアによると、国境付近の住民推定数千人がロシアに向け非難を開始したという。戦闘年齢に達している男性は総動員令に基づき徴兵される予定。

モスクワの米国大使館はウクライナとの国境沿いを含むロシアの公共の場で攻撃を受ける可能性があると米国民に警告を発した。ロシア外務省はこの警告を批判している。

プーチン大統領は米国とNATO(北大西洋条約機構)にNATOの東方拡大とウクライナのNATO加盟を認めないことを文書で法的に保証するよう求めているが、西側はこの要求を拒否している。

米露首脳会談が実現すれば、両首脳はお互いに譲歩を迫ると思われる。西側はロシアが侵攻すれば前例のない壊滅的な制裁を科すと警告している。

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