◎法案が成立すれば、イングランド・ウェールズ・スコットランドから北アイルランドに入る商品の税関検査が不要になる。
イギリスのジョンソン(Boris Johnson)首相は13日、2020年末に締結したブレグジット協定の一部である「北アイルランド議定書」を一方的に変更する法案を提出した。
EUはこの取り組みを「明確な国際法違反」と非難し、「勝手に書き直せば法的措置に打って出る」と警告している。
アイルランド政府はジョンソン氏の取り組みを「低レベル」と表現し、ブレグジット協定の信頼は大きく損なわれたと懸念を表明した。
しかし、ジョンソン氏はこれらの警告や懸念に臆することなく前進すると誓い、議定書の変更を「比較的ささいな措置」と呼んだ。
▽北アイルランド議定書では、北アイルランドとアイルランド(EU)間の通商に支障が出ないよう税関などの国境管理措置を設けないと定めている。その代わりに、英連邦の他の国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)から北アイルランドに入る一部の商品に税関が必要になった。
ジョンソン氏は13日、地元メディアのインタビューの中でEUの批判を一蹴し、「議定書の変更は比較的簡単なことだ」と語った。「率直に言って、比較的些細な調整です」
またジョンソン氏は、「議定書の変更は北アイルランドに平和と安定をもたらした1998年の和平協定を守るという英政府のコミットメントだ」と主張した。
法案が成立すれば、イングランド・ウェールズ・スコットランドから北アイルランドに入る商品の税関検査が不要になる。
ジョンソン氏は国際法の範囲内で行動していると主張したが、EUの執行機関である欧州委員会は法的措置も辞さないと警告している。
欧州委員会のセフコビッチ(Maros Sefcovic)副委員長は13日、北アイルランド議定書の再交渉は行われないと明言した。「議定書の再交渉は非現実的であり、北アイルランドの市民や企業にさらなる法的不確実性をもたらすだけです。こうした理由から、EUは議定書の再交渉を行いません」
またセフコビッチ氏はジョンソン政権の法案に言及し、「我々は議定書を履行し続ける」とした。「イギリスによる一方的な行動に対する我々の反応は、適切なものになるでしょう...」
アイルランドのコベニー(Simon Coveney)外相は13日、「今回の動きはイギリス政府のブレグジットへのアプローチにおいて、特に低レベルなものだ」と指摘した。
アイルランドのマーティン(Micheal Martin)首相も法案に懸念を表明し、「イギリスのような国が国際条約を反故にするとは...非常に遺憾だ」と述べた。