◎トラス首相は年間所得が15万ポンド(約2460万円)を超える市民の所得税45%を見直したいと考えていた。
英財務省は3日、金融市場を混乱させ、記録的なポンド安を招いた高所得者に対する減税計画を破棄すると発表した。
クワーテング(Kwasi Kwarteng)財務相は声明で、「政府は保守党員の声に耳を傾け、理解した」と語った。
トラス(Liz Truss)首相は年間所得が15万ポンド(約2460万円)を超える市民の所得税45%を見直したいと考えていた。
与党保守党の多くの議員が10日前に発表されたトラス政権の税制計画に反旗を翻している。ある議員はSNSに、「やりすぎはよくない」と書き込んでいた。
多くの投資家が「減税しただけで右肩上がりになるほどイギリス経済は強くない」と考え、ポンド売りに走った。
しかし、クワーテング氏は計画を擁護し、「私たちは前に進まなければならない」と保守党員に理解を求めていた。「私たちの計画は正しいと確信しています...」
トラス氏は2日、この計画を擁護したが、発表前の「根回し」が足りなかったと認めた。「もっとうまくやれたはずです...」
トラス氏は先月、景気低迷と低成長に終止符を打つため、イギリス経済を根本的に立て直すと約束した。
しかし、政府は先月23日に減税を含む450億ポンド(約7兆3700億円)の景気刺激策を発表し、その費用を国債でまかなうことが決まると、ポンドはドルに対して過去最低水準まで急落した。
この売りで投資家がイギリス経済を信用していないことが鮮明となった。
イングランド銀行(中央銀行)は債券市場を下支えするために介入を余儀なくされた。