◎スナク前政権はドーバー海峡を渡ってイギリスへの入国を試みる移民の数を減らすため、2年前にルワンダと協定を結んだ。
イギリスのスターマー(Keir Starmer)新首相は6日、アフリカ中央部・ルワンダに不法移民を強制送還する物議を醸す前政権の政策を破棄すると表明した。
スナク前政権はドーバー海峡を渡ってイギリスへの入国を試みる移民の数を減らすため、2年前にルワンダと協定を結んだ。
ルワンダ政府はこの協定により、移民を保護する代わりにイギリス政府から最大1億4000万ポンドの融資を受ける。ルワンダで亡命を認められた者はそこで生活し、認められなかった者は専用施設に送られる。
しかし、欧州人権裁判所(ECHR)は最初の移民がルワンダに送られる直前に待ったをかけた。ECHRはこの計画に「不可逆的な損害をもたらすリスクがある」と判断したのである。
イギリス内務省の統計によると、今年ドーバー海峡を横断した移民は先月初めの時点で約1万800人。昨年同期比で42%増となっている。
昨年ドーバー海峡を横断した移民は約3万人。22年の4万5000人超から大幅減となった。21年は約2万8000人、20年は約8500人である。
ルワンダとの協定を破棄するためには議会の承認が必要。ルワンダ政府はスターマー氏の発表に関するコメントを出していない。
スターマー氏の労働党は4日の下院(定数650)選挙で地滑り的勝利を収めた。