◎イングランドとウェールズの刑務所長は先週、同地域内の刑務所や厚生施設の収容率が95%に達し、近いうちに100%を超える恐れがあると警告していた。
イギリスのスターマー(Keir Starmer)新首相は6日、就任後初の記者会見で、「再犯を減らすための新たな取り組みを通じて、刑務所に入る人の数を減らしたい」と表明した。
イングランドとウェールズの刑務所長は先週、同地域内の刑務所や厚生施設の収容率が95%に達し、近いうちに100%を超える恐れがあると警告していた。
スターマー氏は記者団に対し、「刑期を終えた後、再び罪を犯して刑務所に戻る人が多すぎる」と語った。
またスターマー氏は殺人や殺人未遂などの犯罪を未然に防ぎ、受刑者の数を減らすことが重要だと強調。「受刑者の減少は新政権の優先事項のひとつである」と述べた。
しかしスターマー氏は刑務所の過密状態を「一夜にして解決」することはできないとしたうえで、こう付け加えた。「囚人が多すぎて刑務所が足りないのです」
新政権の法務長官は刑務所の収容率をできる限り下げ、その環境を改善し、再犯防止プログラムを強化したいとしている。
元受刑者を採用しているロンドンの靴チェーン店の責任者は今年初め、BBCの取材に対し、「刑務所の数を増やすことも大切だが、それより重要なのは更生を促し、再犯を防ぐことだ」と語っていた。
4日の総選挙で保守党を圧倒した労働党は量刑の見直しを含む刑法改正を公約のひとつに掲げている。
保守党政権も刑務所の過密解消を目指し、軽犯罪に限定する早期釈放制度の導入を目指していた。労働党はこの制度設計に向けた取り組みを維持すると約束している。
スターマー氏は「刑務所の数を増やせばいいという意見もあるが、受刑者の更生と再犯を防ぐ取り組みを進めなければ、この問題は解決しないと信じている」と述べた。