◎新首相は9月5日に決まる予定。
イギリスのトラス(Liz Truss)外相は30日、ジョンソン(Boris Johnson)首相の後任を決める選挙で元ライバルの支持を確保した。
保守党の有力議員のひとりであるトゥーゲンハット(Tom Tugendhat)下院外交委員会委員長はトラス氏を次期首相に推すと表明し、「彼女は決意、決断、情熱を持っている」と述べた。
この支持はもうひとりの首相候補であるスナク(Rishi Sunak)前財務相にとって大きな痛手となる。新首相は9月5日に決まる予定だ。
BBCニュースによると、保守党内におけるトラス氏とスナク氏の支持率は拮抗している。ただし、世論調査の支持率はスナク氏の方が高い。
保守党党首は自動的に首相となり、コロナ禍のパーティー事件を含む複数の倫理問題で任期を終えることになったジョンソン氏の後任となる。
中道派閥の有力者であるトゥーゲンハット氏はトラス氏について、「同盟関係を重視し、我が国の安全を守るうえで欠かせない外交経験に長けている」と日刊紙タイムズに寄稿している。
トラス氏は今週、ロシア・ウクライナ戦争への対応で党員から高い評価を得ているウォレス(Ben Wallace)国防相からも支持を得た。
ウォレス氏は、「トラス氏の圧倒的な外交経験と軍事費増へのコミットメントを強く支持する」とした。
一方、スナク氏は初期のレースでは他の候補を圧倒したが、なかなか勢いに乗れず追い上げを許した。
予算を管理してきたスナク氏は、トラス氏が非現実的な公約を掲げていると批判し、特に経済面で攻勢を強めている。
トラス氏は就任後すぐ減税すると約束しているが、スナク氏はまずインフレを抑えることが肝要と主張している。
スナク氏はトラス氏の減税政策を「シュガーラッシュ(糖分の過剰摂取で一時的に興奮状態になること)」と呼び、40年ぶりの高水準にある「インフレの炎に油を注ぐことになる」と指摘した。